発達障害・ADHDの人がストレスに弱い原因と4つの対策
今回のテーマは、発達障害やADHDの子どもがストレスに弱い原因と、ストレスを軽減させる対策です。
脳科学に基づいた運動療育を強みとする放課後等デイサービス「こどもプラス」の視点から、具体的に役立つ情報をお届けします。
発達障害・ADHDとストレスの関係性
発達障害は、生まれつき脳機能の発達に未熟さやアンバランスさがあり、その人が過ごす環境や周囲の人との人間関係のミスマッチから、社会生活上で困難が生じる障害です。
(参考:発達障害|こころの病気を知る|メンタルヘルス-厚生労働省)
ここでは発達障害・ADHDの特性を知り、ストレスとの関係を見ていきましょう。
発達障害のストレスは本人が困っていても気づきにくい
発達障害とは、生まれつきの特性なので、後天性ではなく先天性の障害です。
先天性だからと言って出生前検査や生後すぐの段階でわかるわけではなく、発達の過程で行動や言葉、コミュニケーションの問題が出てきて初めて障害の有無を疑うものです。
そのため、子ども自身が環境や人間関係のミスマッチによって困り感を感じていても、症状の種類や程度によっては気付きにくく、成長するまで見過ごされてしまうことも少なくありません。
身体障害のように見た目でわかる障害ではないために、困っていても周囲から見えにくい、理解されにくい側面もあります。困り感が多い生活は、ストレスが多く生き辛いので心身の健康にも大きな影響を与えてしまいます。
たとえば過去の嫌な記憶がフラッシュバックして蘇り、ストレスを溜め込むこともあります。詳しくは『発達障害で嫌な記憶がフラッシュバックする人の特徴と対処法』で解説しているので参考にしてみてください。
ADHDでは二次的な問題を抱えやすい
ストレスが多いことに加え、ADHDではもともとストレスへの耐性が低く、精神疾患など二次的な問題を抱えてしまいやすいと言われています。そもそも、なぜ発達障害の中でもADHDがとくにストレスに弱いのでしょうか。
以下では、発達障害の人たちが抱えるストレスの多さやその原因、ADHDがストレスに弱いとされる所以、またストレスへの対策方法もお伝えします。
ストレスとうまく向き合い、それを解消するための手立てとしてご活用ください。
発達障害の人がストレスを感じやすい理由
発達障害がある人は、ほかの人に比べてストレスを感じやすく発散しにくいと言われます。ストレスの原因は、その人が持っている特性によっても変わってきます。
他人にとっては普通のことでも、当人にとっては大きなストレス要因になることも往々にしてあります。また、発達障害の中でもADHDでは、うつや不安障害などの精神疾患を併発しやすい傾向があり、早期のメンタルケアが重要です。
では、発達障害がある人にとって具体的にどんなことがストレス要因になるのでしょうか。
疲れやすさがストレスを増大させる
発達障害がある人は、持っている特性によって人より疲れやすい傾向があります。
ADHDでは「多動性」の特性によって常に動いてしまうこと、自分の体力の限界を超えて倒れるまで活動を続けてしまうこと、自分の疲れに気付きにくいことなどが疲れやすい要因になっています。
そのほかに、発達障害全般における疲れやすさにつながる要因の中で、代表的なものを5つご紹介します。
<発達障害で疲れやすくなる要因>
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5つの要因のうち1つだけが当てはまる人もいれば、5つすべてを持ち合わせている人もいます。
それぞれの発達障害との関連性、どのように疲れやストレスにつながるのかを説明します。
周囲に適応しようと無理をしている
電車やバスで通学することや学校で授業を受けること、友達と雑談することなど、多くの人が何気なくやっていることでも、発達障害の人にとっては頭も体も心もフル回転させなければできないケースがあります。
苦手なことが多く、次の項目で説明する「感覚過敏」や「身体がうまく動かせない」などの特性もあり、一見問題なくできているように見えても、実際は神経をすり減らして無理をした上で何とかできているかもしれないのです。
ADHDの人は、電車やバスで一定時間座っていることが辛く、授業中もじっとしていることに精一杯で疲れてしまい、授業に集中することも難しくなります。
友達と話していても、自分のことばかりを一方的に話してしまう特性があります。相手に怒りを覚えさせてしまったり、相手の話を聞こうと意識を集中させたりして、疲れることも珍しくありません。
その場合、学校から帰る頃にはぐったりするほど疲れ切ってしまうことがあります。
感覚過敏
視覚・味覚・嗅覚・聴覚・触覚の五感が極端に敏感なのが感覚過敏です。感覚過敏があると、ほかの人にとっては何でもないことが苦痛に感じます。
感覚過敏は、ASD(自閉スペクトラム症)の人に多い特性ですが、ADHDとASDは合併していることが多く、ADHDと診断されている人の中にも感覚過敏がある人がいます。
- 太陽光や蛍光灯の光が眩しくて目が痛い
- 駅や飲食店など雑音がする場所が苦手
- 服のタグや肌触りが良くない物は不快感が強くて着られない
など、日常生活の中で多くの困り事につながります。
苦手な感覚への刺激はとても苦痛で、その場から逃げ出したくなるほど強いストレスを感じます。学校などで何も対策がされないままの状況が続くと、ひどく消耗してしまいます。
身体がうまく動かせない
発達障害がある人の中には、極端に不器用で体を動かすことが苦手な「発達性協調運動障害(DCD)」の人が一定数います。
「【ADHD・ASD】手先の不器用さをもたらす発達障がいと改善に導く方法」の記事でも取り上げていますが
- 転びやすい
- 着替えが苦手
- 箸が上手に使えない
など、日常生活のさまざまな動作で苦労することが多く、人と同じようにやろうとするだけで疲弊してしまいます。
(参考:発達性協調運動障害 知られていない発達障害|兵庫県立リハビリテーション中央病院 子どもの睡眠と発達医療センター 副センター長 中井 昭夫)
とくにADHDとの合併は多く、ADHD児の約半数にDCDが伴っているとも言われています。
(参考:論孝想 日本子ども学会 ー発達障害の診察室で考えていることー|中井昭夫 福井大学 子どものこころの発達研究センター/ 医学部附属病院子どものこころ診療部 特命准教授)
不眠・過眠の睡眠障害がある
発達障害がある人では、高い確率で睡眠の問題が起こります。特性で感覚過敏がある場合は、少しの音や光でも眠れなかったり覚醒しやすかったりするので十分な睡眠が取れません。
発達障害による脳の神経伝達物質であるセロトニンの代謝異常も、不眠に関係していると言われています。また、不眠だけでなく日中に過度の眠気が出現する過眠に悩まされている人もいます。
ADHDでは日常生活に支障をきたすこともある
ADHDの人では、興味がないことをやらなければいけないときに過度の眠気が襲ってくることもあるようです。
ADHDではほかにも、多動性の特性によってそわそわして落ち着かないことやいろいろな考えが頭の中を巡って寝付けない、脳の特性によって朝決まった時間に起きて夜決まった時間に眠くなるというサイクルがうまくいかないこともあります。
このような日常生活に支障をきたすほどの睡眠の問題を抱えている状態を、睡眠障害と言います。
不眠や過眠などの睡眠障害があると、日中の眠気や居眠りだけでなく、集中力、注意力、意欲の低下、うつ、不安、キレやすいなどの問題につながり、生活や学習面にも多くの悪影響を与えてしまいます。
睡眠障害は、本人だけでなく世話をする家族も心身が疲弊する重大な問題です。
昼間の眠気-睡眠時無呼吸症候群・ナルコレプシーなどの過眠症は治療が必要|厚生労働省)
集中しすぎる
発達障害がある人の中には、物事に過度に集中する「過集中」になりやすい特徴を持つ人が多くいます。
集中できるのは良いことでもありますが、問題なのは集中しすぎて衣食住の必要最低限のことも忘れてその活動に没頭してしまうことです。本人が気をつけようと思うだけでは休息も取れないことが多いので、心身ともに疲労が蓄積してしまいます。
ADHDでは過集中の特性を持つ人が多く、頑張りすぎて過労になりやすいので注意が必要です。
物事が思うようにいかずフラストレーションが溜まる
発達障害では得意なことと不得意なことの差が大きく、苦手なことも多くあります。
急な予定変更に対応できない、注意が逸れやすくて課題が最後までやり遂げられない、対人関係がうまく築けないなど、日常の中でうまくいかないことが積み重なり、それが慢性的な疲れにつながります。
ADHDの人は集中しすぎる一方で気が散りやすい側面もあったり、途中で違う情報が入ると気になって衝動が抑えられなくなったり、座っていなければいけないとわかっていても体が勝手に動いてしまったりします。
また、感情をコントロールすることも苦手なので、キレやすい、落ち込みやすいことも心を疲れさせる要因になります。
関連記事:発達障害児は感情コントロールが苦手で適切な関わりが必要です。
自分を理解してもらえない苦しさ
発達障害の人の多くは、コミュニケーションの困難さを抱えています。自分の気持ちや言いたいことをうまく言語化できないことや、相手に伝える方法がわからないことなどの理由で、自分の思いを周囲に伝えることが苦手です。
そのため、不満や欲求があってもわかってもらえないことが多く、悲しい思いをしていることがあります。
ADHDでは、ASDのように「場の空気が読めない」「相手の気持ちがわからない」ことはありません。
しかし、一方的に話して相手の話を聞けなかったり、話が飛んで会話が噛み合わなかったり、思ったことをすぐ口にして相手を怒らせてしまうなど会話の難しさを抱えていることが少なくありません。
コミュニケーションが困難で周囲の人とうまく意思疎通ができないことが日常的にあると、大きなストレスになります。
関連記事:ADHDやASDではコミュニケーションが苦手な特徴がありサポートが必要です。
こだわりが強くてできないことが多い
絶対に変えられない手順ややり方があるなど、物事に対して強いこだわりがあります。早く終わらせたいのにいつものやり方でしかできないなど、物事に臨機応変に対応することができません。
そのため、必要以上に時間がかかったり最後までできなかったりすることがあります。自分なりのマイルールがあるので、やってはいけないと思い込んでいることがあったり、こうあるべきという思考があったりしてできないこともあります。できないことが積み重なり、精神的に大きなストレスを感じてしまいます。
こだわりの強さはASDの代表的な特性の一つですが、ASDとADHDは合併していることが多いため、こだわりの強さがある人もいます。
関連記事:ASDのこだわりは心の安定を保つものなので理解と適切な対応が必要です。
ストレスにつながるADHDの3つの特性
ADHD特有の特性も、ストレスの要因になります。ADHDの主な特性は、不注意・多動性・衝動性の3つです。
それぞれどのような症状があり、どうストレスにつながるのかを解説します。
不注意
注意力散漫で気が散りやすく、うっかりミスや忘れ物が多いなどの特徴があります。そのため、家庭や学校などで注意や叱責をされることが多くなります。
本人は気をつけようと思っていても意識するだけでは難しいので、度重なる失敗経験と周囲からの叱責によって自信をなくし、自己否定感を高めていってしまいます。こうしたネガティブ体験の積み重ねが大きなストレスになります。
多動性
自分の意志とは無関係に身体が動いてしまうのが、多動性の特徴です。
じっとしていなければいけない場面でも動き回ってしまったり、いつもそわそわしていて話を聞いていないように見えたりするので、周りから注意叱責を受けることが多くなります。
また、身体の多動は脳内が多動であることから起きています。頭の中がいろいろな考えや記憶でぐちゃぐちゃになっていて常にフル回転で、整理ができません。頭と身体は動きっぱなしで、すぐにクタクタになってしまいます。
身体の多動によって感じる疲れや周囲からの叱責によるストレス、脳内の多動によって脳が疲労するストレスにつながります。
関連記事:ADHDでの頭の中の多動は消えないので早期の対応が大切になります
衝動性
気になったやらずにいられない、衝動を抑えられない特性です。今やっていいことなのか、言ってもいいことなのかなどを考えるよりも先に行動に移してしまうので、相手を怒らせてしまうなど周囲とのトラブルも多くなります。
また、カッとなりやすくキレやすいところがあるので、手が出やすい特徴も持ち合わせています。人間関係のトラブルは精神的に病みやすく、大きなストレス要因になります。
ADHDの人はもともとストレスに弱い
ADHDの人はよくストレスに弱いと言われます。後述しますが、ADHDをはじめとする発達障害では精神的な疾患の合併がよく見られます。
成人のADHD診断のアセスメントツールとして米国を中心に用いられているウェンダー・ユタ診断基準とハロウェルの診断基準によると、「ストレス耐性の低さ」「気が短くストレスや欲求不満に耐えられない」という項目があり、ADHDはストレスに弱い特徴があることがわかります。
ではなぜ、ADHDをはじめとする発達障害ではストレスに対して弱さがあるのでしょうか。
ストレス脆弱性モデルと呼ばれる仮説
ADHDなどの発達障害がある人は、脳の中で抑うつや不安に関連する部分に問題があり、生物学的にストレス耐性が低いことがわかっています。
脳が健常であれば少しのストレスに負けることはありませんが、もともと脳に弱さがある人は少しのストレスでも反応してしまう脆弱性を持っているため、発達障害による精神疾患の合併が多いというのが近年の考え方になっています。
(参考:ひきこもりと発達障害―内閣府|福島学院大学 大学院附属心理臨床相談センター 心療内科医師 星野 仁彦)
失敗経験の積み重ねが自己評価を下げる
ADHDでは「不注意」「多動性」「衝動性」の3つの特性により、日常生活の中で苦手なことやできないことが多くあります。そのために本人がいくら努力をしても、毎日失敗経験を積み重ねていってしまいます。
<ADHD特性による失敗経験の例>
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学校など集団生活の場に適応できなかったり、人を不快にさせて怒らせてしまったりすることが多く、トラブルが絶えない人もいます。
こうした失敗経験の積み重ねが劣等感や自信のなさにつながり、自己評価をひどく低下させます。自己評価の低い状態が日常的に続くと、心が弱りストレスに対しても弱くなってしまいます。
関連記事:ADHDでは自信が持てず傷つきやすい子ども達が多くいます。
発達障害・ADHDの人がストレスを悪化させると起こる精神的な影響
発達障害・ADHDの人のストレスが溜まると、自律神経やホルモンのバランスが崩れて身体や心に悪い影響があることはよく知られています。
もともとストレスに対して弱さがあり、日常で感じるストレスも人一倍多い発達障害のある人では、その影響はさらに大きくなります。
発達障害のある人が、強いストレスを日常的に抱えているとどんな影響が現れてくるのでしょうか。
パニックやかんしゃくが増える
発達障害の子ども達では、感情や行動を制御する脳の前頭前野に未熟さがあるため、パニックやかんしゃくを起こしやすい傾向があります。ストレスが溜まった状態では、より感情や行動のコントロールが難しくなるので、ちょっとしたことでも感情の爆発や、パニックを起こしやすくなります。
パニックを起こすと、泣きわめいて暴れたり、自分を傷付ける自傷行為や物を壊す破壊行動をしたりするので、周囲の人も手がつけられず困惑してしまいます。保護者の方からの相談でもパニックへの対応は多く、家族の苦労も大きいことがわかります。
しかし、一番辛い思いをしているのはパニックを起こしている本人です。パニックを起こしているときは、強い不安や不快感を感じていて脳の中もひどい混乱状態です。子どもの心身への負担が大きいので、ストレス要因を減らしできるだけパニックを起こさないようにしてあげることが大切です。
関連記事:発達障害児のパニックはやめさせるよりも起こさせない工夫が大切です。
二次障害の発症
二次障害とは、発達障害の特性への無理解や誤った対応などにより周囲との不適応が続いたときに、発達障害と合併して起こるうつや不安障害、ひきこもりなどの精神的な障害です。
発達障害の特性による生活や学習面での困難、人間関係などでの失敗経験の積み重ねといったストレスが二次障害発症の原因になります。
二次障害を発症してしまうと、まずは二次障害への対応が必要になり発達障害への治療が遅れてしまうだけでなく、精神的な辛さがプラスされることで本人の負担も大きくなります。
それを防ぐためにも、発達障害への対応では二次障害の予防が最も重要だと言われています。
発達障害・ADHDのストレスのことをもっと学びたい方は、こちらの記事も参考にしてください!
ストレス値の高い発達障害の子ども達には丁寧な支援が必要です。 |
発達障害の人がストレスを軽減する4つの対策
ストレスに弱く、ストレスを溜めやすい発達障害の人は、二次障害を予防するためにも意識してストレスを減らす取り組みが必要です。子どもが自分の力だけで対策をしていくのは難しいので、身近な大人が一緒に考えながらサポートをしていくことが必要です。
<ストレスを軽減する4つの対策>
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それぞれどんな工夫をすれば良いのか、具体的にお伝えしていきます。
自分の特性を理解する
何が苦手でどんなことにストレスを感じるのか、どんな方法ならやりやすいのかなど、自分の特性を理解します。
例えば、長時間座っていることが苦痛で難しいけれど、時々立ち上がる作業があれば1時間の授業でも耐えられるなどです。自分の苦手がわかれば、事前にストレスになるものを避け、落ち着きをもって対処できたり、困りごとがあれば周囲に助けを求めたりできます。
特性を知ることは、将来大人になって仕事をするときにも役立ちます。
生活リズムを整える
食事、睡眠、運動の基本的な生活習慣を整え、規則正しい生活リズムが送れるように心がけます。栄養や睡眠、運動不足が続き、生活リズムが乱れると、自律神経やホルモンのバランスが崩れて心や身体の調子が悪くなり、ストレスにも弱くなります。
食事、睡眠、運動はどれか1つだけ意識すれば良いわけではありません。睡眠がしっかり取れるように日中は適度に体を動かし、食事の時間も夜遅くならないように気を付けることで、また睡眠が取りやすくなるというように、3つが関連していてどれも重要です。
できることから始めて規則正しい生活を目指しましょう。
環境調整で過ごしやすくする
発達障害の特性と自分が過ごす環境とのミスマッチが、ストレスや生き辛さの原因になるので、環境を整えて過ごしやすくします。
例えば、感覚過敏があって雑音が多い場所が苦手な人はイヤホンを付ける、目から入る情報が多いと集中できない場合はパーテーションを置くなどの調整をすることでストレスを減らします。
環境調整は子どもが1人で行うのは難しいので、周囲の人が協力して行う「合理的配慮」が求められます。合理的配慮とは、障害のある人が障害のない人と平等に人権を享受し行使できるよう、一人ひとりの特徴や場面に応じて発生する障害・困難さを取り除くための個別の変更や調整です。
(参照:特別支援教育の在り方に関する特別委員会(第3回)配布資料3合理的配慮について|文部科学省)
できる限りストレスのない環境で生活が送れるように、1つ1つ整えていきましょう。
自分の特性へのアプローチ法を身につける
自分の持っている特性がわかったら、その特性を社会に適応できるように改善していき、同時に良い方向に活かせるようなトレーニングも療育を通して身につけていくことが大切です。
例えば、集中しすぎる過集中の特性は、食事や睡眠など生活の必要最低限のこともままならないほど時間を忘れて1つのことに没頭してしまう問題があります。
そのままでは生活や健康に大きな支障をきたしてしまいますが、ある程度コントロールできるようになれば1つのことだけに集中力を注げるので、成果を上げやすくなる特性とも言えます。
これは本人の努力だけでは限界があるので、療育を受けることで現状の生きやすさと将来の可能性を広げていくサポートが必要になります。
療育の詳しい説明は「adhdの症状改善に役立つ療育とは?運動療育の高い効果を解説」をご覧ください。
発達障害・ADHDによるストレスが弱い悩みは「運動遊び」で解消
発達障害・ADHDによるストレスが弱い悩みを解消するには、運動を取り入れた療育活動「運動遊び」もおすすめです。
ストレスを発散させるには、体を動かすことも効果的です。
私たち放課後等デイサービスの教室「こどもプラス」で行う療育は、運動遊びを用いた運動療育を主軸としています。運動遊びで楽しく体を動かしながら、個々の困り事の改善や必要なスキルアップを目指すことができます。
今回は、教室で提供している運動遊びの中から「コウモリで積み木拾い」をご紹介します。
<遊び方>
- 鉄棒に両膝をかけて逆さまにぶら下がり、コウモリの姿勢になります。
- 両膝はしっかり鉄棒にかけたままで両手を離し、下にある積み木を拾います。
- どの積み木を拾うかは、指導者が指示を出します。「赤」などの単純な指示から始め、慣れてきたら「トマトの色」や「青くて丸い積み木」「一番大きい積み木」など条件を複雑にしていきます。
- 積み木を拾ったら、前にいる指導者に手渡します。
- 指導者は、落下に備えて腕を掴む補助をしておきましょう。
指示を聞いて積み木を拾うことで、聞く力、記憶力、イメージ力、語彙力などが育ちます。また、積み木を拾うときや渡すときに上体を反らすことで背筋が養われて、日常生活での姿勢保持などに役立ちます。
指示を複雑にしたり、積み木を置く位置を遠くにしたりすることでレベルアップができるので、子ども達の様子に合わせて取り入れてみてください。
<コウモリに関するほかの運動遊びはこちら> |
ストレス対策にもこどもプラスの運動療育
運動をした後に、「気分がスッキリした」「気持ちが前向きになった」と感じたことがある方は多いのではないでしょうか。運動には、ストレス発散や気分転換、リラックス効果があることがわかっています。
生まれつきストレスに対して脆弱性のある発達障害の子ども達は、日々の生活の中で人一倍ストレスを感じやすく溜め込みやすい特徴があります。運動遊びで適度に楽しく体を動かすことで、療育的な効果だけでなくストレスを発散し溜め込みにくくなる効果も期待できます。
ADHDの子ども達は、前述したように脳の未熟さと特性による失敗経験の積み重ねでストレスに対して弱さがあります。
こどもプラスの運動遊びは、脳の中でも行動や感情をコントロールする部位である「前頭前野」の活動を活発にする効果があるので、脳育てができます。脳が育つことでADHD特性の緩和が期待でき、特性による困り事や失敗経験を減らすことでストレス軽減にもつながります。
こどもプラスの療育プログラムは、子ども達が楽しく取り組めるように工夫を凝らしているので、運動が苦手なお子さんでも無理なく楽しく取り組み、効果を感じていただけます。全国に190教室を展開していますので、ご興味のある方はぜひ最寄りの教室までお問い合わせください。