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【ADHD・ASD】手先の不器用さをもたらす発達障がいと改善に導く方法

【ADHD・ASD】手先の不器用さをもたらす発達障がいと改善に導く方法 発達障害

今回は「手先や指先が不器用すぎる」とお悩みの大人や子どもをもつ保護者様に向けて、原因と対策をわかりやすく解説します。

手先の不器用さは、発達障がいが関係している可能性があります。発達性強調運動障がい(DCD)、注意欠陥・多動(ADHD)、自閉スペクトラム症(ASD)の特性ごとに、なぜ手先が不器用になるかを見ていきましょう。

発達障がいの特性を理解し、必要な訓練をすれば、手先の不器用さの改善につながります。手先・指先の不器用さを克服するトレーニング方法も説明します。

とくに遊びながら身体を動かす運動遊びは、お子様の不器用さ改善に大きく役立ちます。ご家庭でできる運動遊びも紹介しますので、ぜひお試しください。

1.なぜこんなに不器用?手先が不器用すぎる子ども特有の原因

なぜこんなに不器用?手先が不器用すぎる子ども特有の原因

発達障がいの説明に入る前に、手先の不器用さを招く一般的な原因を説明します。ただし、対象は未就学児(6歳ころまで)に限られます。

小さな子どもは、手先が不器用だからといって、すぐに発達障がいを疑う必要はありません。指先を動かすのに必要な機能が、まだ発達途中だからです。

成長しさまざまな経験を積むうちに手先を自由に動かせるようになり、不器用さが解消されるでしょう。

どんなに待っても不器用さが解消されない場合、発達障がいを疑ってみても良いかもしれません

1-1.手先が器用になるまでには辿るべき成長過程がある

手先が器用になるには、辿るべき成長過程があります。筆記具を上手に扱える赤ちゃんは存在しません。

しかし3歳ころにはクレヨンを持ち、円を描けるくらいに成長します。年齢を重ねるごとに器用に手先を使えるようになるのです。

手先や腕、足を使う細かな運動を微細運動といいます。微細運動能力は年齢とともに発達します。

『教育心理学研究』に掲載された論文によると、子どもは筆記具を使うとき、年少であればあるほど肩や肘の運動に頼る傾向があるようです。成長とともに手関節の運動に移り、7歳では指関節で筆記具を扱えるようになります。

子どもが保育園や幼稚園に通い出すと、ついついほかの子どもと比較し、発達の遅れを気にしがちです。しかし微細運動能力が向上しているなら、過度に心配する必要はありません。

(参照:筆記具操作における上肢運動機能の発達的変化 | 尾崎康子,教育心理学研究,2000

1-2.気にかけるべきは脳の機能分化ができない発達障がいのケース

1-2.気にかけるべきは脳の機能分化ができない発達障がいのケース

未就学児の不器用さを気にかけるべきケースもあります。年齢を重ねても、いっこうに微細運動能力の成長がみられない場合です。

発達障がいの一つである、発達性協調運動障がい(DCD)の可能性があります。発達性協調運動障がいは、感覚をまとめ適切な行動に移す協調運動に、困難を生じる障がいです。

理屈では手指の動かしかたがわかっても、思いどおりに手指を動かせません。わかっているのにできないもどかしさから、本人も困難を強く感じがちです。

1-2-1.微細運動の年齢別の目安

微細運動の年齢別の目安は次のとおりです。

1歳:なぐり書きをする、親指と人差指の指先でつまむ、コップから水を飲む

1歳半:瓶を傾け中の物を取り出す、4つの積み木で塔をつくる、あまりこぼさずスプーンを使える

2歳:8つの積み木で塔をつくる、直線を真似して描く、ねじる・曲げる・ちぎる動作ができる、みかんの皮をむける

3歳:長短がわかる、なにも見ずに丸を描く、十字形を描く、人物画(頭部のみ)を描く、伸ばす・丸める動作ができる

4歳:四角を真似して描く、人物画(上半身、腕なし)を描く、はさみで切り抜く

5歳:なにも見ずに四角を描く、ひらがなや数字を書く

※発達には個人差があります。

(参照:発達のめやす | 高山市

(参照:発育・発達の様子【発達の目安】 | 北竜町

年齢にふさわしい微細運動能力がいっこうに獲得されない場合は、早めに専門家に相談してください。小学校に入り本格的な集団生活が始まると、さらなる困難を生む可能性があります。

2.原因は脳機能?手先が不器用な状態を生む発達障がい

2.原因は脳機能?手先が不器用な状態を生む発達障がい

手先の不器用さには発達障がいが大きく影響します。経験や運動不足であれば、本人の努力で状態は改善されます。

しかし発達障がいは脳の特性のため、本人の努力ではどうにもなりません。障がいを正しく理解し、生活しやすい環境を整えましょう。

2-1.子どもも大人も共通の原因!発達障がいとは

発達障がいは、生まれながらの脳機能の障がいです。

定型発達と比べ、前頭前野の活動が異なると言われています。ものごとの感じ方や表現が独特で、人間関係の構築やコミュニケーションに困難をきたします。

社会生活で困難にぶつかることが多く、「自分勝手」「怠けている」などと批判されることも少なくありません。

発達障がいの多くは有効な治療法が確立されておらず、大人になって治るものではありません。ただし、障がいを理解し自分にあった環境を整えれば、症状の改善を図れます。

2-2.手先の不器用さだけで発達障がいを断定しない

手先の不器用さは発達障がいの影響が大きいものの、不器用さだけを理由に障がいを断定するのは危険です。作業内容への理解や経験の不足により、器用にこなせないだけの可能性もあります。

発達障がいには、不器用さ以外にもさまざまな症状があります。障がいの種類ごとに生じる症状を理解し、多角的に判断する必要があります。

3.不器用さに結びつきやすい発達性協調運動障がい(DCD)

障がい特性が不器用さに直接結びつく発達障がいに、発達性協調運動障がい(DCD)があります。

ここでは発達性協調運動障がいの特徴と、不器用さに結びつく理由を説明します。

3-1.発達性協調運動障がい(DCD)の特徴

発達性協調運動障がい(DCD)は、協調運動が苦手で、日常生活や手作業、運動に支障をきたす障がいです。

協調運動とは、五感や姿勢、手足の動きなどの感覚をまとめ上げ、なめらかな運動へ導く脳機能です。DCDの人は、脳が感覚をうまくコーディネートできないため、運動がぎこちなく不正確になります。

大人ならば器用さを要される仕事や作業は、意図的に避けられます。しかし子どもは避けて通れません。学校生活のさまざまな場面で、協調運動が必要だからです。

3-1-1.DCDの症状の事例

3.不器用さに結びつきやすい発達性協調運動障がい(DCD)

たとえば体育でボールを扱うとき、目で捉えたボールの位置情報と、投げる・蹴るといった動作が連動しなければうまくいきません。

学習でも目で捉えた黒板の情報を、ノートに書く作業に繋げる必要があります。周囲が早めに障がいに気づき、無理のない環境を整えなければ、不器用さへの劣等感と、作業への苦手意識が広がります。

日常で現れやすいDCDの症状は、以下のとおりです。

  • 転んでも手が出ない
  • ボタンをひとりではめられない
  • 字が極端に下手
  • 箸を上手に扱えない
  • ひもを結べない
  • どんなに練習しても自転車に乗れない

思いあたる特性が複数あるなら、専門家への相談をおすすめします。

3-2.手先が不器用な理由

DCD者の手先が不器用なのは、身体が捉えた感覚を脳がうまくコーディネートできないからです。感覚と手先の運動が連動せず、ちぐはぐな動きになります。

たとえば箸でものを食べるとき、私たちは目で食べ物の形状を捉え、大きさや固さ、表面の滑りやすさなどを予測します。

視覚で捉えた情報をもとに、箸でつかむむ場所や力加減を調整し、つかみづらい場合は半分に切るなど対策をするでしょう。

しかしDCD者は目で捉えた情報を箸の動きに結び付けられないため、必要以上に強い力でつかむ、持ち上げづらい場所をつかむ状態に陥ります。上手に食べられないため、箸を使うこと自体が嫌になるのです。

3-3.発達性協調運動障がいはほかの発達障がいとの併発が多い

DCDは、ほかの発達障がいと併発しやすい特徴があります。

とくに注意欠陥・多動(ADHD)者の半数以上はDCDを併発しているとのデータがあります。発達性協調運動障がいを疑う場合は、ほかの発達障がいの特徴も現れていないか、慎重に判断する必要があります。

(参照:Motor coordination and kinesthesis in boys with attention deficit-hyperactivity disorder. | Piek J.P.,Pitcher,T.M.,&Hay,D. A.)

関連記事:発達性協調運動障害を併発していることもある発達障害児。療育で支援していきましょう。

4.注意欠陥・多動(ADHD)者が手先が不器用な理由

4.注意欠陥・多動(ADHD)者が手先が不器用な理由

注意欠陥・多動(ADHD)も、手先の不器用さをもたらす発達障がいです。

ADHD固有の特徴と、発達性協調運動障害(DCD)の併発が原因に挙げられます。

ADHDは不器用さ以外にも目立つ特性が多く、社会生活や学校で問題を抱えがちです。特性を詳しく知り、生活しやすい環境を整えることが大切です。

4-1.注意欠陥・多動(ADHD)の特徴

注意欠陥・多動(ADHD)は注意力の欠如や衝動性に特徴がある発達障がいです。前頭葉や線条体のドーパミンと呼ばれる物質の機能障がいだと言われています。学齢期の子どもの3〜7%に症状が見られ、周囲の理解と適切な支援が欠かせません。

本人や親が自覚しやすい特徴として、以下が挙げられます。

  • 集中できない
  • 気が散りやすい
  • 物をなくしやすい
  • じっとしていられない
  • 静かに遊べない
  • 待てない
  • ケアレスミスが多い
  • 仕事の納期を守れない
  • 物事を先延ばしにする

(参照:ADHD(注意欠如・多動症)の診断と治療 | e-ヘルスネット(厚生労働省)

ADHD者は「だらしない」「集中力がない」などと批判されがちです。しかしADHDの症状は特性で、本人の努力で左右できるものではありません。頻繁に怒られれば、そのぶん傷つき、自己否定感にさいなまれます。

大切なのは、周囲が特性を理解し、集中しやすい環境や落ち着ける場所をつくることです。

4-2.ADHDで手先が不器用な理由

ADHD者の手先が不器用な理由は2つ考えられます。一つはADHD固有の特徴、もう一つはDCDとの併発です。

4-2-1.ADHD固有の注意機能の欠陥が不器用さを生む

ADHDの特性に、不注意や集中力の欠如が挙げられます。手先の集中力が必要な作業をしていても、集中が続かないためにうまくいかず、不器用な印象を与えます。

ADHD者はすぐに注意がそれがちです。靴の紐を結ぼうと努力しても、靴の汚れが見えれば意識が紐から汚れへ移ってしまいます。その結果、いつまでも紐を結べないのです。

集中して取り組めばできるはずのことを、集中できないためにこなせません。

4-2-2.発達性協調運動障がい(DCD)を併発している

ADHD者は発達性協調運動障がい(DCD)を併発しやすい障がいです。ADHD者の半数以上がDCDを併発しているとのデータもあり、両者の関連性が指摘されています。

DCDを併発している場合、微細運動を円滑には行なえません。手指の動きがぎこちなく、不器用さを実感するでしょう。

(参照:Motor coordination and kinesthesis in boys with attention deficit-hyperactivity disorder. | Piek J.P.,Pitcher,T.M.,&Hay,D. A.)

5.自閉スペクトラム症(ASD)も手先が不器用な原因になる

5.自閉スペクトラム症(ASD)も手先が不器用な原因になる

自閉スペクトラム症(ASD)者も手先が不器用です。

ASDには体をうまく動かすことや、細かな作業が苦手な特性があるからです。ASD者は運動全般に苦手を感じやすく、しばしば「運動音痴」と言われます。

特性と苦手の克服方法を知ることで、社会生活が楽になります。

5-1.自閉スペクトラム症(自閉症・アスペルガー症候群)の特徴

自閉スペクトラム症(ASD)は、独特の感受性やこだわりの強さが特徴の発達障がいです。

変わり者とみなされやすく、学校生活では友人関係の構築に問題を抱えがちです。社会に出ると空気を読めないことがビジネスの障壁になることも多く、職場で困難が露呈します。障がいへの理解と配慮が欠かせません。

より詳しいASDの特徴は、「よく転ぶ子どもは病気や発達障がい?原因別の特徴や対策を解説」をご覧ください。

ASDへの理解がないままだと、人間関係の構築や子どもの発育に影響を与えかねません。とくに子どもは学校生活で「友人ができない」「悪いことをしていないのに先生に叱られる」などの悩みを抱えがちです。

早期に解決しなければ大きなストレスに繋がります。周囲の大人ができるだけ早く特性に気づき、接し方や環境を変えることが大切です。

5-2.ASDで手先が不器用な理由

ASD者の手先が不器用なのは、運動能力が低い特性のためです。

ASD者の脳と運動音痴との関連が、2020年に国立障害者リハビリテーション研究所が発表した研究結果に示されています。

人間が身体を動かせるのは、運動を司る脳の領域で神経活動が正常に行われるからです。ASD者の場合、運動制御にかかわる神経活動が正常に行われず、脳の興奮をうまく抑制できません。脳からの司令を足や手が正確に受け取れず、運動音痴が起こるのです。

ASD者は手先を使う微細運動だけでなく、身体を大きく動かす粗大運動も苦手です。座る、立つ、歩く、走るなどの大きな動きにも不器用さが見られるなら、ASDの可能性があります。

(参照:自閉スペクトラム症者の運動の不器用さの神経科学的根拠を世界で初めて発見 | 国立障害者リハビリテーションセンター研究所

ただし、ASDも発達性協調運動障がい(DCD)を併発しやすい障がいです。協調運動の苦手はDCDの併発が原因の可能性もあります。障がいの判断には医療機関を受診してください。

ASDによる運動音痴の改善方法は運動が苦手なアスペルガー症候群でも遊びながら改善!運動音痴の問題と克服方法をご覧ください。

6.手先の不器用さを改善する子どもに適したトレーニング方法

6.手先の不器用さを改善するトレーニング方法

手先の不器用さを改善するには、状態に応じたトレーニングが有効です。

ここでは、

  • 発達障がいの判断をしにくい就学前の幼児
  • 発達障がいの子ども(障がいの診断が下りた未就学児~高校生)

の順に、不器用さを改善するトレーニング方法を説明します。

6-1.小さな子どもは手指を使う遊びが有効

発達障がいの判断をしにくい就学前の幼児は、日常生活に手指を使う遊びを取り入れます。

たとえば画用紙とクレヨンを与え、自由に使わせれば子どもは試行錯誤しながら絵を描こうとします。うまくいかず諦めかけたら、親がすかさず補助に入り、見本を示してあげると良いでしょう。

見本は難しいものではなく、単純な直線や曲線、丸から始めましょう。描く楽しさがわかれば、子どもは自分から進んで取り組みます。

粘土遊びやビー玉遊びも手先の機能を引き出します。指先を使う知育玩具を買い与えるのも良いでしょう。ただし2歳未満の子どもは誤飲に注意しなければなりません。

6-1-1.トレーニングでは褒めることが大切

6-1-1.トレーニングでは褒めることが大切

子どもが手指を使う作業に挑戦するとき、「できなくてはならない」ではなく、「できたらすごいね」と褒めることも大切です。

3歳ころになれば、子どもはパジャマのボタンや、リュックのファスナーに挑戦したがります。そのさい、できることは褒め、できない部分は応援しましょう。「すぐにできなくてもいい」と伝えることで、子どもは何回でも挑戦する意志を持ちます。

日ごろから指先を使う癖をつけると、成長が自然と促され、不器用さの解消につながるでしょう。

6-2.子どもの発達障がいには運動療育がおすすめ

発達障がいの診断が下りた子どもには、運動療育が良いトレーニングになります。療育とは障がいがある子どもの心身の成長を促進するために行う、医療的・教育的支援です。身体を動かす遊びや創作活動、ことばの学習など、障がいの特性や発達段階にあわせて行われます。

6-2-1.運動療育の効果

運動療育は体を動かすことで、心身の発育を促す療育です。きつい運動ではなく、遊びの延長で行われます。遊びながら体を動かしていくうちにできることが増え、手先の器用さにも結びつきます。

療育は児童発達支援(未就学児対象)や放課後等デイサービス(小中高生対象)で行われます。療育内容を確認し、運動療育を取り入れている事業所を選びましょう。

運動療育の詳細は第8章をご覧ください。

7.手先が不器用すぎる大人におすすめのトレーニング方法

6-2.発達障がいの大人は作業療法で改善できる

手先が不器用な大人向けのトレーニングをご紹介します。お子様が大人になったとき、継続的に取り組める内容です。将来の参考にしていただけます。

トレーニング手法は、

  • 発達障がいの診断を受け、医師や専門家とともに進めるもの
  • 日常的に自分自身で取り組めるもの

にわかれます。

発達障がいへの不安がある人は、医師の診断で障がいを確定させましょう。専門家のもとで支援プログラムを進めながら、家ででき得ることもおこないます。

7-1.発達障がいの大人は作業療法で改善できる

作業療法とは、日常生活を円滑に送るためにおこなう治療や指導、援助活動です。継続的な作業により、健康や幸福を手に入れる(取り戻す)ことが目的です。

対象は、

  • 身体や精神に障がいがある人
  • 病気や加齢で身体機能が低下した人

です。発達障がいの人は前者に含まれます。

実施場所は、主に精神科クリニックや総合病院です。定期的に通うことで、手指の機能改善が期待できます。

7-1-1.作業療法の効果

トレーニングにより、指先を器用に使うための筋力がつくでしょう。目や耳と指の協調性も鍛えられます。

トレーニングは、専門知識を有する作業療法士が主導します。作業療法士は、患者の状態にあわせ、トレーニング内容を策定します。

専門家のトレーニングを受ける利点は、

  • 物事への意欲
  • 集中力
  • コミュニケーション能力

など、発達障がいの特性も改善できるよう、工夫されている点です。一人ひとりの障がいと向きあった支援がおこなわれます。

(参照:作業療法 | 健康長寿ネット

7-2.発達障がいの大人におすすめ!目を閉じて日常動作に取り組む

発達障がいの大人におすすめ!目を閉じて日常動作に取り組む

自分で指先を鍛えたい大人におすすめしたいのが、目を閉じて日常動作に取り組むトレーニングです。周りに危険がないか注意しながら、

  • 洗濯物をたたむ
  • 洋服をハンガーにかける
  • 服を着替える(ボタンやファスナーがあると良い)
  • 紙を折る

などの動作をおこないます。

7-2-1.指先に神経を集中し不器用さを改善に導く

視界を閉ざすことで、指先だけに神経が集中できます。普段は意識しない感触に意識を向け、どのように指先を使うか考えます。指の動かし方の癖や、うまくできない動作がはっきりするでしょう。

苦手な動作は、毎日練習します。

7-2-2.ADHDの集中力を高める訓練にもなる

ADHDの集中力を高める訓練にもなります。

視界を閉ざすことで、目の前のものに興味が限定できます。注意の散漫を防ぎ、作業に集中しやすい環境がつくれます。

7-2-3.ASDにとっては視覚に頼らない情報処理の訓練になる

ASDの人にとっては、視覚に頼らず情報を処理する訓練にもなります。

ASDには、情報の認知を視覚に頼りがちな特性があります。視界を閉ざすことで、集中は触覚と聴覚に限定されます。

作業に慣れれば、視覚以外で物事を認知する癖がつきます。記憶力の向上や、適切な状況判断につながるでしょう。

7-3.手先が器用になる大人向けのセルフトレーニング

長くじっくり取り組める、大人向けのセルフトレーニングを紹介します。

趣味として継続的に取り組めば、徐々に指先が鍛えられます。気づいたときには手先の不器用さが克服できているかもしれません。

トレーニングに没頭しやすいのは、ASDの人です。興味の対象さえ見つけられれば、取り組みやすいでしょう。

ADHDの人はトレーニングに長時間向かえない可能性があります。集中力がそれないよう、内容にも工夫が必要です。

7-3-1.ASDの人がじっくり取り組める指先のトレーニング

ASDの人がじっくり取り組める指先のトレーニング

ASDの人におすすめしたいのは、

  • 編み物
  • プラモデル
  • 木工
  • ペーパークラフト
  • ペン字

です。

いずれも時間と手間がかかるため、じっくり指先を鍛えられます。

注意したいのは、難易度の見極めです。突然難しいものにチャレンジすると、途中で投げ出してしまいます。不器用さを克服できないだけでなく、自己否定感が生まれる可能性もあります。

集中しすぎないよう、時間を区切って取り組みましょう。

7-3-2.集中が難しいADHDの人にもおすすめのトレーニング

集中が難しいADHDの人にもおすすめのトレーニング

ADHDの人は、集中しやすいものを選びます。トレーニング選びのポイントは、楽しさです。

誰でも楽しく取り組め、指先も鍛えられるのが、

  • 楽器演奏
  • 絵画

です。

うまくできる必要はありません。自分が思うままに表現することを優先します。

綺麗な音が出たときや、思うままに描けた喜びは、継続の意欲につながります。喜びを積み重ねれば、長期の趣味にできるでしょう。

8.指先の巧緻性を高め発達障がいの不器用さを克服する運動療育

運動療育は不器用さの克服に役立ちます。

学校の体育と違い、障がい特性や個性に寄り添い提供されるため、無理を強いられることはありません。遊びの延長として楽しみながら取り組むうちに、手先を滑らかに動かせるようになります。

放課後等デイサービスの教室「こどもプラス」では、脳科学にもとづいた独自の運動療育を提供しています。発達障がいへの効果も科学的に実証されており、不器用さに悩む子ども達におすすめできます。

章のさいごに子どもプラスで実施しているプログラムの実例も紹介するので、参考にしてください。

8-1.こどもプラスの運動療育は発達障がいに有効

こどもプラスの運動療育の効果は、脳科学で裏付けられています。

運動療育は前頭前野に刺激を与え、機能を活性化させます。発達障がいは前頭葉の機能障がいのため、運動療育での活性化が期待できるのです。

子ども達は運動療育に取り組むことで、反応のコントロールや行動の切り替えなど、運動能力を高めていきます。手指を上手に使えるようになり、箸を持つ、服を着るといった日常動作や、絵の上達に繋がります。

毎月新たな運動遊びが考案されており、子ども達を飽きさせません。先生と一緒に一つひとつの動作を訓練し、着実に習得することで、成功体験も積み重なります。

8-2.運動療育実例「線路グーパー跳び」

こどもプラスの教室で提供している運動療育プログラムから、「線路グーパー跳び」を紹介します。

床にテープや縄などを使って2本の線を引き線路を作ります。できあがった線路を、グーパー跳びで渡っていきましょう。ただし、線路の中は「グー」の姿勢、線路の外は「パー」の姿勢でジャンプしながら進みます。一つひとつの動きを大きくはっきり行なうのがポイントです。

進むときには線路をよく見て、踏まないように気をつけましょう。考えることばかりに集中すると、前に進めなくなります。慌てて動けばグーパーの動作がおろそかになります。

難しい場合は足だけの動きで練習する、お子様と向かいあい動きを示すなど、取り組みやすい方法で、できることから行ないましょう。お子様の発達段階にあわせ、スモールステップで進めることが大切です。

グーパー跳びのやり方は、こどもプラスのインスタグラムでも紹介しています。運動遊びに詳しい運動保育士が動画付きで解説しています。ぜひご覧ください。

グーパー跳びに関する運動遊びをもっと知りたい人は、以下の記事も参考にしてください。

さいごに

手先が不器用な理由は、幼児とそれ以外でわかれます。

幼児は運動に必要な機能の発達段階のため、成長とともに解決する可能性があります。普段の生活で、お絵描きや粘土など指先を使う遊びを取り入れ、成長を促進しましょう。

幼児以外は不器用さと発達障がいが強く結びつきます。中でも発達性協調運動障がい(DCD)は不器用さの直接の原因になります。協調運動に困難をきたすことが多いなら、早めの受診や相談をしてください。

注意欠陥・多動(ADHD)や自閉スペクトラム症(ASD)も不器用さに繋がる障がいです。DCDを併発していることも多く、障がいの特徴を知り、早めに対処することが大切です。

大人は発達障がい者支援センターが相談窓口です。医療機関の紹介や、作業療法を受けられる施設を紹介してもらえます。

子どもには児童発達支援や放課後等デイサービスでの療育がおすすめです。中でも運動療育は不器用さの克服に役立ちます。こどもプラスの運動療育は脳科学に裏付けられ、手指の不器用さを解消するためのトレーニングにも効果があります。

ご興味のある人は、ぜひ一度お試しください。毎月新たな運動遊びを用意し、皆様のお越しをお待ちしています。

全国に190教室を展開しています。ご興味のある方はぜひ最寄りの教室までお問い合わせください。