発達障がい?感情のコントロールができない子どもの特徴・大人にも有効な対策
すぐに怒りを爆発させる、泣きわめいて手がつけられないなど、お子様の感情のコントロールにお悩みの保護者様も多いでしょう。
感情のコントロールが難しいと、すぐに発達障がいを疑いたくなります。しかしどのような子どもでも、大人と比較すると感情のコントロールは苦手です。
まずはしっかりとお子様の状態を見極め、できる対処から始めることが肝心です。
今回は
- 発達障がいの見極め方
- 子ども(とくに発達障がい児)が感情のコントロールをしにくい場面
- 感情を爆発させたときの適切な対処法
- 大人に向けたアンガーマネジメントの方法
を説明します。
また、感情を落ち着かせる効果がある「運動遊び」にも言及します。体を動かすことで集中力が高まり、それが感情のクールダウンに役立ちます。
簡単にできる遊びも紹介するため、ご家庭でお子様と一緒に挑戦してください.
1.感情のコントロールができない子どもは病気?発達障がい?
感情のコントロールができないお子様を見て、つい「うちの子は病気かも」「発達障がいでは?」と疑う保護者様もいらっしゃるでしょう。
しかし感情のコントロールが苦手なことや怒りを抑えられないことが、すぐさま特定の病気や発達障がいに結びつくわけではありません。まずはお子様が感情を上手に扱えない原因に目を向けましょう。
1-1.どんな子どもでも大人と比べ感情のコントロールが苦手
子どもは大人と比べ、感情のコントロールが苦手です。
とくに小さなころは、思いどおりにならないことがあれば泣きわめき、かんしゃくを起こす子どももいます。子どもは通常、成長とともに徐々に感情をコントロールできるようになります。
しかし、すべての子どもが順調に感情をコントロールできるよう、成長するわけではありません。中にはいつまでも親を困らせ続ける子もいます。その要因は2つ考えられます。
- 感情とことばが結びつかない
- 自分の感情に気づけない
1-1-1.感情とことばが結びつかない
感情を表すことばは親から教わります。
たとえば、ニコニコしている子どもを見て、「〇〇ちゃんは今、うれしいんだね。なにがあったの?」と親が話しかけることで、子どもはうれしい気持ちと、「うれしい」ということばをリンクさせて覚えます。
気持ちとことばがつながっていれば、子どもは自分の気持ちを親に訴えられます。気持ちを親子で共有できるため、親子間のコミュニケーションが深まります。
このような親子間の関係性が薄い子どもは、感情を表すことばを知りません。そのため、抑えきれない感情を周りの誰にも伝えられず、ただ泣きわめく、騒ぎ立てるしかできないのです。
1-1-2.自分の感情に気づけない
自分が今どのような感情なのかわからず、かんしゃくを起こす子もいます。
そのような子どもにも、ことばが大きく影響しています。
私たちは自分が悲しいとき、自分の感情を理解できます。それは「悲しい」という言葉を知っているからです。
子どもは周りの大人が教えない限り、自分の感情をことばにできません。大人にことばを教わらなかった子どもは、なにか感情をいだいても、それがなにか理解できません。
その結果、わけがわからないまま騒ぐしかないのです。
関連記事:自分の思い・気持ちを伝えられない|発達障害による苦手を克服する方法
1-2.発達障がいの特性が出ていることもある
発達障がいは、大人・子どもに限らず感情のコントロールが苦手な特性があります。これは脳の前頭前野の機能が正常に働かないためで、本人の努力不足や性格の問題ではありません。
発達障がいの子どもは、衝動的に現れる大きな感情を前に、どうしたら良いかわからず戸惑っています。
行動を無理やり正すことや、禁ずることは、根本的な解決になりません。周囲の大人が発達障がいの特性を理解し、困難の原因を取り除くことが大切です。
発達障がいの特性は、次章で説明します。
関連記事:発達障害児は感情コントロールが苦手で適切な関わりが必要です。
2.怒りを抑えられない発達障がいの特性(ASD・ADHD)
発達障がいのうち、感情のコントロールができず、怒りを抑えられなくなりがちなのが、「自閉スペクトラム症(ASD)」と「注意欠陥・多動(ADHD)」です。
本章ではこの2つの障がいの特質を説明します。お子様の発達障がいが不安な保護者様は、ここで紹介する特性とお子様の行動を照らし合わせ、感情のコントロール以外にも該当する項目がないかご確認ください。
少しでも不安があれば、専門家に早めにご相談の上、第4章以降の対処法をお試しください。
2-1.自閉スペクトラム症(ASD)
自閉スペクトラム症(以下、ASD)は、自閉症、広汎性発達障がい、アスペルガー症候群など複数の症例の総称です。
厚生労働省が示すASDの特徴は、以下のとおりまとめられます。
①社会的なコミュニケーション、対人関係の構築に継続的な問題が生じる
②形式的に同じことを繰り返す(体の動かし方や会話など) ③一つの物事への固執や、こだわりが強い ④外部からの感覚刺激(物音や目に映るもの)に過敏 ⑤なにか一つに集中しているときは、外部からの感覚刺激に鈍感 ⑥発達早期から、①〜⑤の症状が現れている ⑦発達に応じた対人関係や学力、職業的な能力が阻害されている ⑧これらの障がいが、知的障がいや、全般性発達遅延ではうまく説明できない |
(参照:ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)について | e-ヘルスネット(厚生労働省))
このほか、感覚の偏りや、体の動かし方の不器用さもASDによく見られる症状です。
詳細は『運動が苦手なアスペルガー症候群でも遊びながら改善!運動音痴の問題と克服方法』をご覧ください。
2-2.注意欠陥・多動(ADHD)
注意欠陥・多動(以下、ADHD)は学齢期の子どもの3〜7%に見られると言われます。家庭や学校生活で困難をきたすことが多いため、周囲の理解と適切な支援が欠かせません。
厚生労働省によると、ADHDの診断基準は、以下のすべてを満たした場合です。
①不注意(集中できない、気が散りやすい、物をなくしやすいなど)と、多動・衝動性(じっとできない、静かに遊べない、待てないなど)が、ほかの子どもと比べ強く見られる
②症状のいくつかが12歳以前から見られる ③家庭や学校など複数の状況で、①の特性が障がいになっている ④発達に応じた対人関係や学力、職業的な機能が阻害されている ⑤これらの症状が統合失調症や、ほかの精神病性障がいによって引き起こるものではなく、ほかの精神疾患では説明できない |
※弊社編集部で、厚生労働省記載の内容を平易にまとめています。
(参照:ADHD(注意欠如・多動症)の診断と治療 | e-ヘルスネット(厚生労働省))
ADHDの子どもは、「だらしない」「頑張れない」などの評価を受け、叱られがちです。友達関係や成績不振で悩みがちな上に、頻繁に怒られることで、気分の落ち込みや自己否定感にさいなまれます。
ADHDは特性であり、子どもの努力とは無関係です。集中しやすい環境をつくることや、親と学校が連携し対策することが重要です。
関連記事:集中力注意力が持続しにくいADHDではあらゆる場面で支障があります。
2-3.グレーゾーン
ASDやADHDの特徴が見られるものの、診断がくだされるほどではない子もいます。そのような子どもは、健常児とも発達障がい児とも言えない「グレーゾーン」です。
グレーゾーンの子どもは、個性への対応が重要です。発達障がいと同じ支援では、本来ひとりでできることまで阻害しかねません。逆に、できると思って放っておいたら、大きな困難に直面することもあります。
また、診断名がつかないため、必要な支援を受けにくい問題もあります。
関連記事:「ちょっと気になる」発達障害グレーゾーンの子ども達にも療育支援を。
2-4.感情のコントロールが苦手なのはASD、ADHD共通
感情のコントロールに苦労するのは、発達障がいに共通する問題です。
発達障がいは脳の前頭前野の機能不全が原因だと考えられています。前頭前野は感情のコントロールだけでなく、記憶や思考、発想、判断などをつかさどる大切な部位です。正常であれば前頭前野は4〜5歳までに成熟するものの、発達障がいの子は前頭前野の成長に偏りが生じます。
怒りで感情を暴走させる、泣きわめくなどの症状は、この成長の偏りが原因です。
現在、ADHDは薬での治療法が確立されつつあるものの、途上段階です。ASDは有効な治療法すら確立されていません。
ただ、社会で発達障がいへの認知が進み、発達障がいに適した環境の構築や、対人への配慮がなされるようになりました。支援を受けられる場所も増えています。
関連記事:発達障害ではイライラしやすい傾向があり適切なサポートが必要です。
3.発達障がいの子どもが自分の感情をコントロールできない3つの場面
本章では発達障がいの子どもが、感情をコントロールしにくい3つの場面を説明します。
- 不安を感じている/困っている
- 体が疲れている
- 予定どおりにいかない/思いどおりにならない
これらの場面に直面しないよう、周囲の大人が配慮することが大切です。
3-1.不安を感じている/困っている
発達障がいの子どもは、自分の感情の分析や表現が苦手です。
そのため不安を感じているときや困っているときに、それをうまく表現できません。もやもやした感情をどう処理して良いかわからず、本人が認識しないまま感情が爆発します。
突然子どもが怒り出す、泣き出すようなら、なにか不安や困っていることがないか、確認しなければなりません。
3-2.体が疲れている
ADHDの子どもによく見られる事例です。
ADHDの人は多動の特性があり、体だけでなく頭も活発に回転させています。そこに肉体的な疲れが重なると、体と心へのストレスは健常児以上に大きくなります。
しかし「休みたい」「つらい」などの欲求をうまく表現できず、大人に疲れを認識してもらえません。それが感情の爆発を引き起こします。
3-3.予定どおりにいかない/思いどおりにならない
形式どおりに進むことにこだわるASDによく見られる事例です。
ASDの人は反復を好み、新たなこと、予定外のことを嫌います。自分が知らないことには、どう対処して良いかわからず、パニックになります。
それは些細なことでも起こります。たとえば、いつもの通学路が工事で通れず、迂回しなければならない場合です。ASDの子どもにとっては、パニックを引き起こす引き金なのです。
また、ASDの子どもはこだわりが強く、自分のルールにしたがって行動します。思いどおりに行動できない場合、こだわりを成し遂げられないことに強い反発を覚えます。それも感情を爆発させる原因です。
4.発達障害で感情コントロールがきかない子どもをクールダウンさせる方法
発達障がいの子どもに接するときに大切なのは、感情をコントロールできない要因を取り除くことです。
- 不安に結びつくものを取り除く
- 体が疲れる運動や行動を避ける
- 予定外が起こらないよう、行動メモを渡す
などの対策が考えられます。
しかしいったん子どもが怒り出してしまった場合、鎮めるのは大変です。本章では感情のコントロールがきかなくなった子どもへの対処法を説明します。
4-1.場所を変える
もっとも効果的なのは、怒りや悲しみの対象から物理的に引き離すことです。
原因が近くにある限り、感情を収めるのは困難です。いったん視界に映らない場所まで移動し、気持ちをリフレッシュさせましょう。
室内にいるなら、外に出ると視界も空気も変わります。発達障がいの子どもは興味がほかへ移りやすいため、外に出れば興味の対象が移行します。
4-2.徹底的な受容を示す
感情を爆発させる大きな要因は、周囲に伝わらないもどかしさです。感情を外に出せずに困っているからこそ、一気に爆発します。
したがって「私はあなたを受け入れる」という徹底的な受容を示すことが効果的です。
安全な場所へ連れていき、怒りたいだけ怒らせ、泣きたいだけ泣かせます。あなたはただ、それをうなずきながら受容するだけで良いのです。親子なら、抱きしめて受容を示すのも効果的でしょう。
聞いてくれる人がいる、受け入れてくれる人がいると感じることで、子どもは安心します。
4-3.感情に名前をつけて手放す
環境を変えられない場合、感情に名前をつけて手放すことも有効です。子どもは物理的に感情を引き離す感覚を持ちます。
たとえば怒りの感情に「おこりんぼう」と名前をつけ、子どもに教え込みます。
子どもが怒りを爆発させたとき、「〇〇ちゃんの中に、またおこりんぼうが遊びに来たね。でも、そろそろおこりんぼうもおやつの時間だから、おうちに帰してあげよう」と言い聞かせ、実際に子どもの体からものを取り出し、空に放り投げるしぐさをします。
そのあと「バイバイ」と手を振ると良いでしょう。
4-4.苦痛から注意をそらす
怒りや悲しみの感情が小さいうちは、ほかのものへ注意をそらすことも有効です。
発達障がいの子どもは、目や耳で捉えられる刺激に敏感です。新たなおもちゃを与える、お気に入りの動画を見せるなど、子どもの注意がほかに向くよう仕向けます。
ただし、怒りや悲しみが大きく、子どもが深く囚われている場合は、少しの刺激では届かないかもしれません。その場合は、環境を変えることを優先します。
4-5.中学生以上にはコーピング思考の伝達も有効
中学生以上はものごとの分別がつき、大人の言っていることをある程度理解できます。その場合、怒りや悲しみに囚われたときの思考方法を伝授すると良いでしょう。
教えるのはコーピング思考です。コーピングとは強いストレスがかかった場合の考え方です。
たとえば、次のように説明すると、中学生でも理解しやすいでしょう。
「怒りや悲しみは永遠には続かない」
「今あなたは不快だが、あなたはその不快感を許せる心を持っている」
「怒りも悲しみも悪いものではない」
子ども達がこれらの思考方法を覚えることで、感情をコントロールしやすくなります。
なお、コーピング思考は、発達障がいに苦しむ大人にもおすすめします。
5.感情のコントロールができない発達障がいの大人に有効なアンガーマネジメント
発達障がいの大人に有効な、アンガーマネジメントの手法を説明します。お子様が、これから大人になったときに必要な知識です。
発達障がいの人は、大人になっても感情のコントロールをできないことがあります。イライラや怒りに対処しきれず、感情を持て余します。
発達障がいの症状は、根本的な治療ができません。感情の乱れや起伏は、自分自身で抑える対策を考えます。
本章で、感情との向きあいかたを習得しましょう。
5-1.イライラや怒りを溜め込む大人は多い
イライラや怒り、悲しみなどの負の感情は、大人になると感じないわけではありません。大人だからこそ、感情を強く感じることもあります。社会でのさまざまな関係性の中で、子ども以上に感情を揺さぶられる機会が多いからです。
日本アンガーマネジメント協会が、新卒3年以内の離職と怒りの関連性を示す調査結果を公表しています。
同調査によると、会社を3年以内に離職する人は、4年以上在籍する人に比べ、3倍以上のイライラを抱えています。一日20回以上イライラする人も、15%近くいるのです。
イライラをため込んだ結果、離職の結論に至るのでしょう。
日常生活でも、子育てでイライラや怒りをコントロールできず、自責の念にかられる人もいます。夫婦喧嘩が絶えない家庭もあるでしょう。
イライラや怒りがわくこと自体は、自然なことです。大切なのは、自分でいかにコントロールするかです。
(参照:新卒3年以内の離職に関して、怒りに関する調査結果を発表! | 日本アンガーマネジメント協会)
5-2.発達障がいの高校生や大人が感情のコントロールができない原因
発達障がいの人は、定型発達の人以上に感情のコントロールが効かない傾向にあります。
高校生や大人になっても、障がい特性が消えるわけではないからです。他人に頼れないぶん、特性が生じることをつらく感じることもあるかもしれません。
子どものうちは、親や先生が特性の出にくい環境を整えてくれます。大人になると、環境を整えるのは自分自身です。どうすれば特性の出現を防げるか、自分で考え対処しなければなりません。
仕事では苦手なことにも取り組まざるを得ません。人間関係の構築が困難でも、逃げるわけにもいかないのです。負の感情が出現する場面も増えるでしょう。
頻繁に押し寄せる大きな感情に、自分ひとりでうまく対処できず、抑えきれなくなることもあります。
5-3.怒りをコントロールするアンガーマネジメント
アンガーマネジメントは、怒りを制御する心理療法です。1970年代にアメリカで開発されました。
人間関係のカウンセリングやストレスの解消など、さまざまな目的で使用されています。発達障がいでイライラや怒りを抑えきれない人にも、おすすめしたい手法です。
大きな特徴は、自分で取り組めることです。手法は書籍や動画で学べます。
本格的に取り組みたい人は、日本アンガーマネジメント協会の講座を受講することもできます。アンガーマネジメントファシリテーターの資格が取得可能です。
5-4.アンガーマネジメントの代表的な手法
アンガーマネジメントの代表的な手法は、次の2つです。
・わきあがった怒りを抑えるための行動的なアプローチ
・考えかたの癖を認識し、怒りを予防するアプローチ
あらかじめ怒りを予防できるよう努力しつつ、突発的な感情がわいたときの対処法も習得します。
5-4-1.わきあがった怒りを抑える
強い怒りを感じたら、一呼吸おく癖をつけましょう。一般的には、6秒の我慢で強い怒りが収まると言われます。
深呼吸で息を整える方法もあります。怒っている時は、息が上がっている状態です。呼吸を整えれば、怒りの感情も引いていきます。
可能なら、場所も移しましょう。怒りの対象から離れれば、怒る意味もなくなります。感情を爆発させる前に、逃げられるなら逃げてください。
逃げるのが難しい場合は、注意をそらしましょう。怒っている時は、内面の怒りにばかり囚われています。ほかに意識をそらすことで、怒りの感情から目を背けられます。
<わきあがった怒りを抑える方法>
- 一呼吸置く
- 深呼吸する
- 場所を移す
- ほかのものに注意を移す
5-4-2. 考えかたの癖を認識し、怒りを予防する
考え方の癖を認識しておけば、あらかじめ怒りを予防できます。
おすすめの方法は、怒った場面をメモに残しておくことです。ある程度の量が溜まれば、怒りを感じやすい条件や傾向がわかります。
怒りのスイッチが入りやすい条件を避けられるよう工夫しましょう。
条件を避けていても、要注意な状況もあるかもしれません。危機感があるときは、できるだけ早く場所を変えましょう。
心の持ち方を変えることも大切です。自分の価値観を絶対だと思わないよう心がけます。自分は自分、他人は他人です。「価値観は違って当たり前」と思えるようになれば、怒る場面も減ります。
ストレスも溜め込まないようにしてください。ストレスはすでに怒りを持っている状態です。少しのきっかけでも、爆発しやすくなります。
<考え方の癖を認識し、怒りを予防する方法>
- 怒った場面をメモに残す
- 要注意な状況になったら、できるだけ早く場所を変える
- 自分の価値観を信じない
- ストレスをため込まないよう生活する
6.感情のコントロールに有効な、こどもプラスの運動療育
発達障がいへの有効な対処法に、療育があります。
療育とは、子どもの心身を成長させ、自立や社会性の獲得を促す、医療的・教育的行為です。創作活動や運動など、子どもの個性を伸ばすさまざまなプログラムがあります。
療育を受けられるのは、地域の療育センターや放課後等デイサービス、児童発達支援の教室です。
私たちこどもプラスは、障がいのある未就学児対象の児童発達支援と、小学生〜高校生対象の放課後等デイサービスを全国展開しています。
私たちの療育の特徴は、遊びながら体を動かす「運動遊び」です。運動遊びは、感情のコントロールができない子どもに効果的です。
6-1.脳科学で実証された集中力の高まり
運動遊びの効果は脳科学で実証されています。
運動遊びは、脳の前頭前野に刺激を与え活性化させます。前頭前野はワーキングメモリ、反応抑制、行動の切り替え、プラニング、推論などの認知と実行を行う部分です。
運動遊びで行動の切り替えが行いやすくなり、集中力を高められるのです。
実際に私たちの独自研究では、以下の効果が見られました。
<運動遊びの効果>
- 運動をすることで脳が活性化する
- 集中力がアップする
- 感情のコントロールができるようになる
- 小学校に入ってからの態度が良い
- 体力測定の結果がとても高くなる
(参照:最新の脳科学で裏付けられた柳沢プログラム | こどもプラス事務局講演用資料)
集中力を高められることで、目の前のものごとへ意識が向き、感情をコントロールしやすくなります。
6-2.発達障がいの怒りやすい子どもにも有効
運動療育は発達障がいにも有効です。
第2章で説明したとおり、発達障がいは脳の前頭前野の機能不全です。運動遊びはこの部分を活性化させるため、発達障がいにも効果的です。
私たちの研究では、発達障がいの子ども達も対象にしています。前節で説明した運動遊びの効果は、発達障がい児にも変わらずに見られました。
7.感情コントロールにつながる運動療育の事例紹介
さいごに、こどもプラスの運動療育で実際に行われている遊びを紹介します。
今回ご紹介するのは、集中力を高め感情をコントロールしやすくする「忍者おつかい」です。
7-1.忍者おつかい
タオルやハンカチを足の間に挟んでジャンプしながら、低い障害物を跳び越えます。
気をつけるポイントは、音を立てずにジャンプをすることと、挟んだタオルを落とさないこと、障がい物に当たらないことです。
ジャンプした時にタオルを落としてしまう場合は、どの位置に挟めば落ちないか見本を示しましょう。
また、焦って進もうとするとジャンプで音が出てしまうため、膝の曲げ伸ばしの力を使い、音のしない静かなジャンプができるように促します。
最初から全てを完ぺきにできる必要はありません。少しずつ上達を目指して遊ぶと良いでしょう。集中力を高められ、感情のコントロールに悩む子ども達の力になります。
なお、忍者シリーズのプログラムはほかにも多数あります。以下の記事もご覧ください。
さいごに
お子様が感情を爆発させたときには、すぐに発達障がいを疑うのではなく、冷静に個性を観察することが大切です。
お子様が発達障がいの場合、主に以下の場面で感情をコントロールできなくなります。
- 不安を感じている
- 困っている
- 疲れている
- 予定どおりにならない
- 思いどおりにならない
このような場面を未然に防ぐことで、お子様の感情の爆発を防げます。
ただし、どうしてもこれらの事態が避けきれない場合は、以下の対処法が有効です。
- 場所を変える
- 徹底的な受容を示す
- 感情に名前をつけて手放す
- 苦痛から目をそらす
- コーピング思考の伝達(中学生以上)
大切なのは叱らないこと、否定しないことです。感情の爆発は子どもの特質であると捉え、それを受け入れることから始めなければなりません。
なお、こどもプラスが提供する運動遊び(運動療育)も有効です。こどもプラスの運動遊びは、集中力を高め、感情のコントロールをしやすくします。
「忍者おつかい」などご家庭でも取り入れやすいプログラムを多数揃えています。詳細は全国190拠点ある放課後等デイサービスの教室でご案内します。随時入所体験も行えますので、お気軽にお問いあわせください。