自閉症スペクトラム, 運動療育・運動遊び

発達障がい(ASD)の興味の偏りを克服し強みに変える方法

自閉症スペクトラム

興味のないことをできない人がいます。大人は主に会社で、子どもは学校の集団生活で問題を抱えがちです。

興味の偏りには、発達障がいの一つである自閉スペクトラム症(ASD)が影響している可能性があります。

ASDの人はこだわりが強く、特定のものに強い興味を示します。社会的な困難に直面しやすい反面、興味を育て能力を伸ばせば、障がいを強みに変えられます。

この記事では、興味のないことができない原因となる、ASDの特徴を細かく説明します。仕事や勉強の悩みを解決するきっかけをつかめるでしょう。

また、障がい特性を強みに変えるポイントも説明します。個性を伸ばすために、私たち「こどもプラス」の取り組みもご紹介しますので、参考にしてください。

  1. 1.興味のないことができない人の特徴
    1. 1-1.【子ども】得意と苦手がはっきりしている
    2. 1-2.【子ども】集団行動ができずクラスになじめない
    3. 1-3.【大人】特定分野以外の仕事ができない
    4. 1-4.【大人】マイルールで仕事をし他人の意見を受け入れいにくい
  2. 2.興味のないことができない原因は発達障がい
    1. 2-1.発達障がいとは
    2. 2-2.自閉症・アスペルガー症候群と興味の偏りの関係
      1. 2-2-1.現在は自閉スペクトラム症(ASD)と呼ばれる
      2. 2-2-2.興味のないことができないASDの特性
      3. 2-2-3.定型発達とASDの見わけかた
    3. 2-3.発達障がい(ASD)の人が興味のないことで眠気をもよおす理由
  3. 3.ASDの人が興味のないことを続けると起こる弊害
    1. 3-1.発達障がいと適応障がいを併発することも
    2. 3-1-1.適応障がいとは
      1. 3-1-2.適応障がいと発達障がいの関係性
      2. 3-1-3.発達障がいの人は環境を変えるしかない
    3. 3-2.不安や我慢が抑うつ状態を引き起こす
      1. 3-2-1.抑うつとは
      2. 3-2-2.ASDと抑うつの関係性
      3. 3-2-3.抑うつには環境の整備と治療が大切
  4. 4.ASDの人が興味の偏りを強みに変える方法
    1. 4-1.周囲に障がいについての理解と協力をお願いする
    2. 4-2.苦手なことを頑張るより環境を変える
    3. 4-3.興味がある分野の力を育めば才能を開花できると知る
      1. 4-3-1.Apple社のジョブズもASDで知られている
      2. 4-3-2.子どものころから興味を伸ばせば専門家にだってなれる
    4. 4-4.子どもの中に眠る力を伸ばす療育
      1. 4-4-1.療育とは
      2. 4-4-2.個性に対応する療育プログラムが効果的
    5. 4-5.興味のないことに取り組みやすくなる!こどもプラスの運動療育
      1. 4-5-1.運動療育の効果
      2. 4-5-2.平均台障害物渡り
  5. さいごに

1.興味のないことができない人の特徴

興味のないことができない人の特徴

興味のないことができない人は、会社や学校生活に支障をきたしがちです。ここでは子どもと大人にわけ、当人が抱えやすい問題の特徴を説明します。

1-1.【子ども】得意と苦手がはっきりしている

興味のないことができない子どもは、得意なものと苦手なものがはっきりしています。強い興味を示す分野は、周囲の誰にも負けません。しかし、興味のない分野には取り組む意志が弱く、苦手意識が強いこともあります。

勉強では、興味のある特定科目で優秀な成績をおさめることがあります。工作やプログラミングで、突出した才能を見せる子も少なくありません。地名や歴史上の人物を丸暗記する、教科書に出てこない英単語まで知っているなど、高い能力で先生を驚かせることもあります。

しかし、苦手なことはとことん苦手です。

  • 体育で手足の動きがちぐはぐになる
  • 何度教えてもルールを覚えられない
  • 図工で手先の細かな作業ができない

など不器用な一面が見られます。

関連記事:【ADHD・ASD】手先の不器用さをもたらす発達障がいと改善に導く方法

1-2.【子ども】集団行動ができずクラスになじめない

【子ども】集団行動ができずクラスになじめない

興味のないことができない子どもは、集団行動も得意ではありません。集団行動には「やらなければならないこと」があり、興味がないことも避けられません。

苦手が顕著に出るのが、運動会や音楽会など、集団で一つの物事に取り組む行事です。無理に取り組んでも不慣れでうまくいかず、ほかの子と協調できないことも珍しくありません。

「つきあいづらい子」「空気を読めない子」とみなされ、クラスに馴染めず孤立することもあります。友達づくりにも苦労しがちで、集団生活自体を嫌う子もいます。

1-3.【大人】特定分野以外の仕事ができない

興味のないことができない大人は、仕事で苦労しやすくなります。

好きな仕事に就いていても、一日中特定分野の業務だけをおこなえるわけではありません。会議があれば出席し、顧客と電話のやり取りも担います。興味がないことにも取り組まざるを得ず、そのたびにストレスを抱えます。

職場によっては、「あれもこれもできて当たり前」と多様な力を要求されることも少なくありません。すべての人が同じようにできることを前提に仕事を押しつけられても、興味の偏りがある人には苦痛でしかありません。

1-4.【大人】マイルールで仕事をし他人の意見を受け入れいにくい

マイルールでしか仕事をせず他人の意見を聞かない

興味のないことができない大人は、仕事をマイルールでこなしがちです。

他人の意見やルール変更をなかなか受け入れられず、自分のやり方にこだわる傾向があります。一緒に仕事をする人は「やりづらさ」を感じるため、社内で疎まれる原因になりかねません。

技術やサービスは、時代とともに変化します。会社は変化に対応せざるを得ず、従業員も成長を求められます。マイルールにこだわっていると、「成長意欲がない」「会社の要求を受け入れない」とみなされることがあるかもしれません。

2.興味のないことができない原因は発達障がい

興味のないことができない原因は発達障がい

興味のないことができない状態には、発達障がい(ASD)の特性が影響している可能性があります。

ここでは発達障がいが興味の偏りにつながる理由と、発達障がいと定型発達(健常)の見わけかたを説明します。

2-1.発達障がいとは

発達障がいは、先天的な脳機能障がいです。

物事の捉え方や行動が独特で、社会生活でしばしば困難にぶつかります。

脳の機能や神経伝達物質がうまく働かないことが、障がいの原因だと考えられています。本人の性格や努力、親のしつけの問題ではありません。

根本的な治療法は確立されておらず、病気のようには完治しません。障がいと折り合いをつけながら、生活する環境を整える必要があります。

平成16年に発達障がい者支援法が施行されて以降、発達障がいの認知が年々進み、支援体制も整えられています。早めに発達障がいを確定させ、生活環境を特性に見あったものに変えることで、症状の緩和が期待できます。

2-2.自閉症・アスペルガー症候群と興味の偏りの関係

2-2.自閉症・アスペルガー症候群と興味の偏りの関係

発達障がいにはさまざまな種類があります。興味の偏りは、自閉症やアスペルガー症候群の特性です。2013年以降は「自閉スペクトラム症(ASD)」と呼ばれるようになりました。

2-2-1.現在は自閉スペクトラム症(ASD)と呼ばれる

興味の偏りがある発達障がいは、自閉症、広汎性発達障がい、アスペルガー症候群などと呼ばれていました。ことばの遅れや知的発達に異なる点はあるものの、コミュニケーションの困難やこだわりの強さは共通しています。

2013年以降はアメリカ精神医学会(APA)の診断基準DSM-5にもとづき、「自閉スペクトラム症(ASD)」とまとめて呼ばれています。病院で下る診断名も、自閉スペクトラム症(ASD)です。

2-2-2.興味のないことができないASDの特性

ASDは、脳内の神経伝達物質(ドーパミン)の機能不全が原因だと考えられています。

運動機能や意欲・学習などに関わる「ドーパミンD2受容体」、認知や感情に影響する「同D3受容体」が脳内で減少していることが、日本医療研究開発機構の研究で明らかになっています。

(参照:自閉スペクトラム症には脳内のドーパミンD2/3受容体の減少が関連し、社会的コミュニケ―ションの困難さや脳部位間の機能的な結びつきに関与していることが明らかに | 日本医療研究開発機構

ASDの人に共通して見られる特性は以下のとおりです。

①コミュニケーションを取りづらく、良好な人間関係を構築しにくい

②社会的な想像力に問題がありコミュニケーションのずれに気づきにくい

③五感のいずれかが過敏になり、感覚が偏っていることがある

④こだわりが強く、法則や規則に従って行動したがる

⑤体をうまく動かすことや、細かな作業が苦手

興味の偏りには、③と④が影響しています。

物事に対する感覚が特殊なため、他人とは違うものにも強い興味を抱きます。興味があるものにはとことんこだわり、マイルールを曲げません。こだわりを貫徹できないと大きなストレスを感じます。

(参照:ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)について | e-ヘルスネット(厚生労働省)

2-2-3.定型発達とASDの見わけかた

興味のないことをできない人が、全員ASDに該当するわけではありません。

ASDの特徴がほかに見られない場合、性格や趣味嗜好の問題かもしれません。見わけるには、ASDの人にしかない特徴を知ることが大切です。

最もわかりやすいASDの特徴は、「克服しようと努力をしてもできないこと」です。ASDの興味の偏りは、脳機能の問題です。努力をして改善されるものではありません。

ほかにも、

  • 興味のあることに熱中すると、過集中(没頭しすぎの状態)になり、ほかのことを受けつけない
  • 興味のあることを強制的にやめさせられない(叱っても繰り返す)
  • 自分がつらい思いをしても、興味のないことには向きあわない
  • マイルールで失敗を繰り返しても、同じ方法でしか物事にあたれない

などがASD固有の特徴です。

心配な場合は、発達障がい者支援センター(全年齢対象)や児童発達支援センター(未就学児対象)など、専門家に相談することをおすすめします。

関連記事:ADHDで頭の中がごちゃごちゃする原因と脳内多動を静め整理する対処法

2-3.発達障がい(ASD)の人が興味のないことで眠気をもよおす理由

発達障がい(ASD)の人が興味のないことで眠気をもよおす理由

ASDの人によく見られるのが、興味のないことをしようとすると眠くなる現象です。

ASDの人は脳内のドーパミンD2受容体が少ない特徴があります。D2受容体は、やる気にかかわります。D2受容体を介しドーパミンが働くことで、人間は労力がかかると予見できても頑張れるのです。

ASDの人はD2受容体が少なくドーパミンの機能が弱いため、集中しづらくなると考えられています。

集中力が下がると、やる気が起こらず、脳も覚醒しないため、眠くなってしまいます。興味がない仕事や勉強に従事している間は、頭がぼーっとする状態が続くのです。

(参照:「ご褒美がもらえる」と「大変だけど頑張ろう」の2つの『やる気』システムを解明 〜うつ病の仕組みとその改善法を知る上で重要な手がかり〜 | 量子科学技術研究開発機構)

(参照:なぜ発達障害を抱える人は、睡眠障害を併発することが多いのか? | 一般社団法人こども発達支援研究会/)

3.ASDの人が興味のないことを続けると起こる弊害

ASDの人は、障がい特性を知り、できるだけ早く生活環境を整える必要があります。生活環境があわない場合、二次障がいを併発する恐れがあるからです。

二次障がいとは、発達障がいの困難が原因で起こる精神疾患や体の不調です。

  • 不安障がい
  • 適応障がい
  • 抑うつ
  • 依存症
  • 心身症
  • 引きこもり(※注)

などさまざまな症状が起こり得ます。

二次障がいが起こると、発達障がいに加え病気でも苦しむことになります。未然に防がなければなりません。

※注)引きこもりは病気ではないものの、発達障がいに困難に起因する場合があります。

ASDのことをもっと知りたい方はこちらの記事も参考にしてください。

ASDの子どもは独り言が多い?ずっと喋っている3つの理由とうるさい時の対処法

自分の思い・気持ちを伝えられない|発達障害による苦手を克服する方法

3-1.発達障がいと適応障がいを併発することも

発達障がいと適応障がいを併発することも

発達障がいの診断が下りる前に起こりがちなのが、適応障がいです。いつまでも適応障がいが治らず調べた結果、根本の原因として発達障がいを指摘されることがあります。

3-1-1.適応障がいとは

適応障がいとは、置かれている環境に適応できないストレスにより、心身の不調に陥る障がいです。気分の落ち込みや不眠、動悸、吐き気など症状はさまざまです。

適応障がいの特徴は、ストレスの原因がはっきりしていることです。通常、ストレスの原因がなくなれば症状が改善されます。

3-1-2.適応障がいと発達障がいの関係性

発達障がいがある人は、定型発達者以上に社会生活で困難を抱えがちです。

 ASDには、コミュニケーションや人間関係の構築が困難な特性があります。興味の偏りや強いこだわりもストレスを生むでしょう。

仕事でも学校でも、ストレスを感じる場面が多いのです。ストレスが多いぶん、適応障がいに陥る可能性も上がります。

3-1-3.発達障がいの人は環境を変えるしかない

適応障がいの治療には、適応力を高める精神療法が含まれます。

発達障がいの場合、適応力を高めたところで、興味のないものを好きになることはありません。

同じ環境に置かれている限り、適応障がいが改善されることはありません。思いきって環境を変えるしか方法はないのです。

3-2.不安や我慢が抑うつ状態を引き起こす

ASDの人は、不安に襲われること、我慢を強いられることが多々あります。精神状態が悪化し、抑うつ状態になることも少なくありません。

3-2-1.抑うつとは

抑うつとは気分の落ち込みや憂鬱さが強まり、心身に影響をきたす状態です。

行動意欲や食欲の低下、倦怠感、不眠などさまざまな症状が現れます。原因はストレスや病気、性格など多岐にわたります。

3-2-2.ASDと抑うつの関係性

ASDの人は他人との交流に苦手意識を持ちがちです。

障がいに理解がない人からは「つきあいづらい」「空気が読めない」といった評価を受けることがあります。

人から嫌われること、心無い言葉を浴びせられることが度重なると、他人からの評価されることや、注目されることへの不安が増幅します。

興味のないことができず、こだわりも強いため、日常的に行動に我慢も強いられます。

佐久大学の研究によると、抑うつになる大きな原因の一つはストレスです。不安や我慢でストレスが大きくなるほど、抑うつの症状が出やすくなります。

抑うつは自尊感情とも密接に連鎖しています。自尊感情が低くなるほど抑うつに陥りやすくなります。抑うつの症状が出ている時は、自尊感情も低いときです。

(参照:抑うつと関連する要因に関する研究 | 佐久大学看護研究雑誌3巻1号

福岡教育大学の研究によれば、自尊感情の低さは、学習意欲や規範意識(決まりを守ろうとする意識)の低下をもたらします。「どうせ自分なんか」という自己否定感が強くなると、学習をする気にも、規則を守る気にもなれません。

ASDの人が抱えるストレスは、自尊感情を損なうまで負の連鎖を引き起こします。

(参照:小学生と中学生における自尊感情の高低と学習意欲,規範意識との関係 |福岡教育大学紀要,第71号,第5分冊

3-2-3.抑うつには環境の整備と治療が大切

抑うつになった場合も、環境を変えることが第一です。発達障がいの特性が理解され、不安や我慢がない場所で、自尊感情を取り戻す必要があります。

医師の定期的な診察を受けながら、精神療法や薬物療法を続けることも必要です。

4.ASDの人が興味の偏りを強みに変える方法

ASDの人が興味の偏りを強みに変える方法

ASDの興味の偏りは、ネガティブに捉える必要はありません。生活環境を整えた上で、興味を強みに変える意識を持てば、社会で強みになる能力を獲得できることもあります。

できるだけ早く障がいを確定させ、生活しやすい環境を整えることが大切です。ここではASDの人が興味の偏りを強みに変える方法を説明します。

4-1.周囲に障がいについての理解と協力をお願いする

周囲に障がいについての理解と協力をお願いする

環境を整えるには、周囲の理解と協力が欠かせません。職場ならば上司や同僚に、学校ならば先生に、障がい特性と協力内容を説明します。

学校の場合、先生たちは発達障がいの知識を持っています。特別支援学級や通級のシステムもあるため、障がい特性に応じた対応が望めます。

問題は職場です。発達障がいは社会的な認知が進んではいるものの、障がいへの理解がない職場もあります。説明をしてもなんの対処もされない場合、仕事を続けてもお互いの利益になりません。

二次障がいが起こる前に、転職を視野に入れましょう。近年では発達障がいへの理解があり、労働環境が整った会社は増えてきています。

4-2.苦手なことを頑張るより環境を変える

ASDの人に必要なのは、無理な頑張りより環境を変えることです。ASDの特性が理解され、適切な支援を受けられる環境に身を置けば、症状が改善される可能性があります。

のびのびと生活や仕事ができる環境ならば、興味のある分野を伸ばせます。特性を個性と捉え、良い部分を伸ばせるでしょう。

4-3.興味がある分野の力を育めば才能を開花できると知る

興味がある分野の力を育めば才能を開花できると知る

生活する環境を整えたら、自身の意識づけも大切です。

「ASDだから〇〇ができない」と考えるのではなく、「ASDの特性があるからこそ、〇〇に能力を発揮できる」と肯定的に捉えます。

ASDの人の強い興味とこだわりは、社会で活かせれば大きな力になります。才能を開花させ、専門家になることも夢ではありません。

4-3-1.Apple社のジョブズもASDで知られている

世界的に評価され成功した有名人にも、発達障がいの人がいます。Appleの創業者であるスティーブ・ジョブズも、障がいを強みに変えた一人です。

ジョブズは興味に裏づけされた卓越した開発センスがあるいっぽう、こだわりが強く周囲との軋轢が強かったと言われます。創業者にもかかわらず、1980年代にはAppleを一時解任される騒動も起こしています。

しかし会社復帰後はiMacをはじめ、iPod、iPhoneなど新たなデバイスを次々と成功させました。Apple社は、彼にとって興味を伸ばし続け、才能を発揮できる場所だったのです。

4-3-2.子どものころから興味を伸ばせば専門家にだってなれる

ASDの人は、特定の分野に大きな興味を示します。子どものころから興味を育て伸ばす教育を実践すれば、大人になったときに社会で武器になる専門性が身につきます。

興味の対象が勉強と関係ない場合、親や先生は積極的に取りあおうとしないかもしれません。しかしどんな興味でも大切に育てれば、いつか大きな力になります。

たとえば鉄道や車、アニメが興味の対象の場合、学業を進める上ではプラスに働きません。

「勉強以外の余計なこと」とみなされ、興味を封じられる恐れもあります。しかし興味を活かして職業を選べば、専門家として社会貢献できます。鉄道も車もアニメも、立派な職業になり得るのです。

大切なのは興味を否定しないことです。障がい特性が社会で生きる力にもなり得ることを強く認識しましょう。

4-4.子どもの中に眠る力を伸ばす療育

子どもの興味を育て、個性を伸ばすには、子どもの力を引き出す教育が必要です。

学校教育でカバーできない場合、児童発達支援(未就学児向け)や放課後等デイサービス(小学生〜高校生)の療育が大きな力になります。

4-4-1.療育とは

療育とは、障がいがある子どもに対する医療的・教育的な支援です。障がいを持つ子どもが直面する困難を克服し、自立した社会生活を送れるよう、さまざまなプログラムで支援します。

療育の内容は創作や軽い運動、音楽などさまざまです。多くの教室は、軸となるプログラムを提供しつつ、一人ひとりの個性にも対応した支援をおこなっています。

4-4-2.個性に対応する療育プログラムが効果的

私たちこどもプラスは、児童発達支援と放課後等デイサービスを全国展開しています。

遊びながら軽い運動をおこなう運動療育を軸に据え、個性に対応するさまざまなプログラムをご用意しています。

<身体の機能を伸ばすメニュー>

・ビジョントレーニング

・ことばの教室(言語聴覚療法)

<興味の発見と伸長に役立つメニュー>

・プログラミング

・動画編集

・ロボットプログラミング

・理科実験

・現代アート など

障がいを克服し、興味の偏りのあるお子様の才能を伸ばすのに最適です。

4-5.興味のないことに取り組みやすくなる!こどもプラスの運動療育

放課後等デイサービスの療育がどのようなものか知っていただくため、私たちこどもプラスが軸に据える、運動療育のメニューを紹介します。

4-5-1.運動療育の効果

運動療育は遊びながら軽い運動をおこなうプログラムです。

体を動かすことで脳機能が活性化されるため、集中力のアップに大きな効果があります。

運動療育で集中力を高めておけば、苦手なことや興味のないことにも取り組みやすくなります。私たちの独自研究でも、運動療育の後に学習を取り入れることで、集中力の増加が証明されています。

(参照:最新の脳科学で裏付けられた柳沢プログラム! | こどもプラスホールディングス(FC事業者様向け説明資料))

4-5-2.平均台障害物渡り

こどもプラスの運動療育プログラム「平均台障害物渡り」をご紹介します。

1本の平均台の上にカップ等の障害物を置き、当たらないようにまたぎながら歩きます。平均台から落ちないように両手を広げ、背筋を伸ばし、できるだけつま先歩きを意識しておこないましょう。

障害物の数は3~4個から始め、少しずつ増やしたり、間隔を狭めたりして難易度を調整します。

慣れてくると子ども達は速く進みたがりますが、ゆっくり正確におこなうことが大切です。

指導者は「魔法の杖」(丸めた新聞紙等)を持ち、子どもの頭の上をなでるように動かします。子ども達は指導者が動かす杖に当たらないよう、かがみながら前進します。

かがみながらでも平均台から落ちずに進めるよう、全身をうまく使ってバランスをとりましょう。つま先の踏ん張り力や腹筋背筋、膝の曲げ伸ばしなどが上達します。

平均台障害物渡りは、日常生活での怪我予防にもつながります。脳を覚醒させたいときだけでなく、日常生活でうまく活用すると良いでしょう。

関連記事:ボディイメージや空間認知力を育てる「障害物クマ歩き」です。

さいごに

興味のないことができない人は、仕事や学校で多くの困難にぶつかります。環境に適応しようと努力しても、うまくいかない人もいるでしょう。

努力をしても改善されない場合は、発達障がいの一つである自閉スペクトラム症(ASD)の可能性があります。ASDの特性には、「感覚の偏り」や「こだわりの強さ」があります。特性の影響で興味が偏り、興味のないことへの対応が苦痛になるのです。

興味がないことを続けると、適応障がいや抑うつなどの二次障がいを引き起こす可能性もあります。頑張ろうとするのではなく、周囲の理解を得て協力を仰ぐこと、環境を変えることが大切です。

適切な環境で興味を育くめば、障がいが大きな力に変化することもあります。社会的に大成功を収めた先例も少なくありません。大切なのは、興味の偏りを否定せず、障がいと折りあいをつけながら個性を伸ばすことです。

子どものころから個性を育むには、児童発達支援や放課後等デイサービスで療育を受けるのも良いでしょう。お子様にあったプログラムを見つけられれば、障がいを強みに変えていけます。

こどもプラスは、お子様の個性に対応するさまざまな療育プログラムをご用意しています。全国190の教室で、随時プログラムを体験可能です。ご興味のある方はぜひ最寄りの教室までお問い合わせください。