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発達障害のある子どもの問題行動!代表的な理由・原因2つについて

発達障害

発達障害の特性のある子どもと接しているとき、困った行動や問題行動と言われる行動が目に付くことも多くありますね。

障害の有無に関わらず、同じような問題行動が何度も繰り返されると、周囲の大人を困らせるためにわざとやっているのでは、と思ってしまうこともあるでしょう。

しかし、子どものそうした行動の裏には理由があり、子ども自身も困っていることが多くあります。

今回は、発達障害のある子どもの問題行動の代表的な理由2つと例について見ていきましょう。

発達障害の子どもの問題行動、その理由1つ目

発達障害の子どもも問題行動の理由、1つ目は特性による困難さです。

一言で発達障害と言っても、その特性は様々です。

その何かしらの特性により、うまくいかないことがあり、周囲から見ると問題行動に見えることがあります。

例えば授業中にじっとして座っていられないという問題行動が見られたとき。

その理由は、子どもによって様々で、以下のようなことが考えられるでしょう。

1、姿勢を維持する筋力が不足している

発達障害の子どもの中には、姿勢を維持する筋力が不足していることがあります。

発達性協調運動障害といって、体の筋肉や骨、神経など各器官には異常がないにも関わらず、体の動きがぎこちなくなる障害を診断される子どももいます。

発達性強調運動障害の診断基準は満たしていなくても、生まれつき筋肉の張りが弱い低緊張の子どももいます。

他にも、感覚の未発達より、自分の体をコントロールして動かすことが難しいという子どもも多くいるのです。

その結果、じっと座っていることが難しいということがあります。

関連記事:なぜ発達障害(ASD・ADHD)だと体幹が弱い?3つの理由と改善策

2、感覚過敏

発達障害の子どもの中には音、光、触覚等に対する過敏があることがあります。

具体的には外からの音が気になってしまう、椅子の感覚が不快、電気や太陽光がまぶしい等です。

こういった日常の環境がストレスの要因となり、過剰な反応や回避するための行動として、椅子から離れるということがあります。

関連記事:感覚統合と発達障害・遊びを通じて力をつける!トレーニングの方法
関連記事:発達障害による感覚過敏には多くのパターンがあり個々への対処が必要です。 放課後等デイサービスの運動療育プログラム

3、学習困難

学習障害の特性のある子どもの場合、一定の授業に対して強いストレスがかかることがあります。

特に、一斉授業では、自分のペースでの学習や理解度の確認無しに先へ進むことも多いため、理解できていないまま次のページに進んでしまうこともあるでしょう。

また学習障害が無くとも、脳の特性により耳からのみで入る情報処理が困難な子ども、目からのみで入る情報処理が困難な子どもがいます。

知的には障害が無いのに、授業のスタイルが合わず、学習についていけなくなる時があるかもしれません。

わからない話が入ってくる環境でただじっと座っていることは障害の有無に関わらず、苦痛に感じることでしょう。

こういったストレスや失敗体験から自信を失い、反抗的な態度や回避行動を示すことがあります。

関連記事:発達障害では視覚からの情報が入りやすい子が多いので環境調整も大切です。 放課後等デイサービスの運動療育プログラム

4、集中力の維持

発達障害の子どもの中でもASDの子どもの特性として興味の偏りが挙げられます。

授業の内容によっては、興味を持つことができず、どうしても集中できないということも考えられます。

一方、ADHDの子どもの特性には衝動性や多動性があります。

刺激のない環境が苦手で、手遊びを始める、席を立つ等無意識的に自ら刺激を作り出すことがあります。

これらが問題行動に見えることもよくあることです。

関連記事:集中力・注意力が持続しにくいADHDではあらゆる場面で支障があります。 放課後等デイサービスの運動療育プログラム

このように、座っていられないという目に見える行動は同じでも理由は様々考えられます。

周囲を困らせたいわけではなく、特性によりうまくできないだけということも多くあるのです。

子どもはまだ発達段階です。

子ども自身が言葉にして伝えることが苦手なことも多いので、子どもをよく観察し気持ちに寄り添いながらサポートしてあげることがとても大切です。

問題行動の元になっている特性を周囲がしっかりと見極めて対処していくことが必要と言えるでしょう。

発達障害の子どもの問題行動の理由1つ目、特性による困難さ、その様々な理由の例を確認してきました。

では、子どもの問題行動の2つ目はどんな理由が考えられるでしょうか?

発達障害の子どもの問題行動、その理由2つ目

発達障害の子どもも問題行動の理由、2つ目は欲しい結果を手に入れるためです。

こちらは応用行動分析学(ABA)の考え方です。

現在、この応用行動分析学は、ASDの子どもを中心に発達障害のある子どもの療育などに活用されています。

応用行動分析学とは、心理学の「行動分析学」の一部分です。

発達障害の有無に関わらず、「人間や動物などの行動には、法則がある」と言うのが行動分析学の考え方です。

この原理では、「人は、行動の直後によいことが起きるとその後、同じ行動が起きやすくなる」としています。

人によって「よいこと」というのは様々です。

例えば、「授業中に立ち歩く」という行動によって「他の子どもの視線を浴びたり声をかけられる」とか「先生に叱られる」とか「授

後に先生と二人で話をする」ということが起きるかもしれません。

それが、その子どもにとって「よいこと」であれば、問題行動は繰り返されます。

「注目を浴びる」や「叱られる」や「先生と二人で話をする」というのは、人によっては嫌なことかもしれません。

ただ前半で確認したように、授業に集中することが苦痛な子どもの場合、叱られるだとしてもコミュニケーションが発生することが「よいこと」だったり、自分の困難さに気付いてもらう機会になる「よいこと」だったりするのです。

もし授業で分からないところがあれば、「~のため、~がわかりませんでした。もう一度お願いできませんか」等お願いすることが望ましいと言えます。

しかし、発達障害の子どもの場合言語やソーシャルスキル習得の課題を抱えていることもあり、言葉で困難さを発信することが容易でないことも多くあります。

関連記事:発達障害の問題行動はサイン?原因の理解と支援の必要性について!

問題行動を繰り返す理由2つ目の理由として、欲しい結果を手に入れるため、言葉の代わりに問題行動をしていることを確認してきました。

苦痛を感じているのは子ども達であることを忘れず、焦らずに言語やソーシャルスキルの習得を考えていけるとよいですね。

最後に、発達障害の子どもの問題行動を減らすために周囲がどんなことができそうか、見てみましょう。

発達障害の子どもの問題行動を減らすために

上記に挙げた通り、問題行動その理由は子どもにより様々です。

また、困った行動で困っているのは子ども達自身であることがほとんどです。

特性や発達課題によるものも多いため、焦らず、少しずつ取り組んでいくことが大事と言えるでしょう。

尚、発達障害の傾向が強い子どもであれば、子ども自身は相手や周囲を困らせていることに気付いていないことも多くあります。

まずは、問題行動を減らすために「相手を意識する力」の練習をすることがお勧めです。

そこで今日は相手を意識する力を養うためのプログラム、こどもプラスの放課後等デイサービスで提供している運動療育プログラムから「足を渡るクマ歩き」をご紹介します。

「足を渡るクマ歩き」

  1. 大人は床に座り、足を伸ばして開脚しておきます。
  2. 子どもはクマ歩きでこの足をまたいで渡って行きます。
  3. 足に当たったり踏まないように慎重に進みましょう。

関連記事:ボディイメージや空間認知力を育てる「障害物クマ歩き」です。 放課後等デイサービスの運動療育プログラム

足に当たらないように気をつけて進んでいくことで、空間認知力や身体コントロール力、相手を意識する力も養っていくことができます。

慣れてきたら大人は足の幅を狭くしてみたり、変化させることで難易度を上げてみてください。

また、友達同士や家庭での親子遊びとしてもおすすめです。

相手を変えたり少しアレンジを加えたりしながら楽しく遊んでみてくださいね。

今回は、問題行動を減らすための取り組みとして「相手を意識する力」を養う「足を渡るクマ歩き」をご紹介しました。