知的障がいの子が楽しめるあそび|室内向けレクリエーション10選
知的障がいのあるこどもにとって、あそびは成長を促すことができる大切な時間です。
ただ楽しいだけではない、レクリエーションには「自信を育む」「自己肯定感を高める」といった大きな効果があります。
新しいことを学び、人との関係も築くことができるあそびにはさまざまな効果がみられるでしょう。
こどもに向いているものを見つけて、是非取り組んでみてください!
楽しみながら、一緒にこどもの成長を感じていきましょう。
この記事では、知的障がいのあるこども向けのあそび10選をご紹介します。
障がいのこども向けのあそびの効果を確認しながら、あそびの種類についても解説をしていきます。
知的障がいの子へのあそび・レクリエーションの効果
知的障がいのこどもたちを育てていく上で自信や自己肯定感を高めることは大切なことですが、それをより効果的にできるのがレクリエーションや運動です。
レクリエーションには、さまざまな効果があり、運動機能や体力の向上・ストレス解消・社会性を身につける・コミュニケーション能力の向上・自己肯定感の向上などが挙げられます。
レクリエーションは、単なるあそびではなく自信をつけて成長していくための重要な活動といえるでしょう。
レクリエーションに参加することで、同年代と関わる機会ができたり他者とのコミュニケーションを取る方法を学ぶこともできます。
そういった経験をすることで、集団の中の関わり方などを理解し学ぶことができるのです。
レクリエーションでは、障がいのあるこどもの社会参加を深め、自立を促すことにつながります。
また、自己肯定感の向上にも大きく寄与します。
自己肯定感とは、ありのままの自分を肯定する感覚のことです。
この自己肯定感が一定あることにより、主体的に行動したり、失敗に落ち込みすぎず、努力を継続したり、他人と良好な関係を維持したりすることがしやすくなると言われています。
反対に、自己肯定感が低いことで、精神的に不安定になりやすかったり、新しいことへのチャレンジに強い抵抗を感じたり、他人に依存しやすくなることがあると言われています。
「自己肯定感が低いから」と言って必ず幸せに生きていけないということではありません。
しかし、障がいの有無に関わらず、こどもたちの自己肯定感を育てていくことは人生を豊かにするためにとても重要なことなのです。
ところがこの自己肯定感、知的障がいや発達障がいのあるこどもたちは比較的育ちにくいことがある、と言われています。
これは、特性により失敗や指摘されることが多く失敗経験の積み重ねから自信をなくしてしまうこと、失敗に過敏で失敗経験が記憶に残りやすいこと等が要因になることも多いようです。
発達障がい・知的障がいのこどもの自己肯定感を高めるあそびはいくつかありますが、お勧めは身体を使ったあそびです。
得意不得意もあるため、本人のレベルに合っていることが大前提となりますが、一般的に運動は「できるようになった」や「1回目よりもよくなった」がわかりやすく、大人が具体的に褒めやすい活動と言えます。
自己肯定感を育むためには小さな成功体験をたくさん積み、それを身近な人に認めてもらうことでした。
本人が変化を実感しやすいことも重要ですが、大人が言葉で変化を具体的に伝えやすいことというのもポイントで、身体を使ったあそびは適しているといえるでしょう。
このように、知的障がいのこどもたちを育てていく上で自信や自己肯定感を高めることは大切なことですが、それをより効果的にできるのがレクリエーションや運動です。
次に、知的障がいの子も楽しめる室内向けあそび・レクリエーションについてご紹介します。
知的障がいの子も楽しめる室内向けあそび・レクリエーション10選
知的障がいのこどもも楽しめる室内向けあそび・レクリエーションを10個ご紹介します。
新聞あそび
1歳などの小さなこどもから遊ぶことができます!
用意するもの:新聞紙・チラシなど
あそび方
新聞紙を自由にビリビリ破ったり、好きな形を作ったり、折りたたんだりして自由に遊ぶ
効果
手や指先の力を養うことができる・大きな新聞紙を使うことで全身を使った全身運動を行うことができる
音楽レクリエーション
うたあそび、わらべうた、リズム体操、カラオケなど!
用意するもの:特になし(必要であれば、CDなどの音源・ピアノの楽器を用いてもいいでしょう)
あそび方
うたあそび
みんなで好きな歌をうたいましょう!
手あそびを交えながらやっても楽しいですね。
年齢や好みに合わせて選曲してあげるといいでしょう。
リズム体操
音楽に合わせて身体を動かしてみましょう!
リズムの取りやすい曲を選曲すると身体を動かしやすいです。
好きな曲を歌いながら、好きに踊るのがオススメです。
YouTubeなどで振り付けのついている曲を見ながら身体を動かしてもいいですし、完全にオリジナルで好きに踊るのもどちらもいいと思います。
カラオケ
どの年齢の方でも楽しめるあそびです。
長時間歌うのが難しい場合は、得意な部分やサビの部分だけを歌ってもらうなど工夫してやってみましょう。
効果
情緒が安定するため、感情コントロールなどにオススメ!
たくさん歌って踊って気持ちよくなると、夜眠りやすくなる効果もあります。
また、リズム体操では身体を動かすため身体機能の維持・向上などにも効果的です。
トランポリン
用意するもの:トランポリン
あそび方
トランポリンを使って遊ぶ全身運動です。
自由に跳んだり、リズムに合わせて跳んでみましょう。
効果
体幹が鍛えられます。
不安定なトランポリンの上でのジャンプ・着地のため、バランスを取るために体幹が鍛えられます。
また、リズムに合わせて跳ぶことでリズム感を養うこともできます。
※自宅で行う場合は、周囲の物などを十分に注意し広い空間で行いましょう。
連想ゲーム
用意するもの:お題を書く紙・ペン
あそび方
言葉を使った簡単なゲームです。
お題を一つ決めて、そこからいくつ言葉をだせるか挑戦します。
制限時間を決めて挑戦してみましょう。
例)雪➡冬➡クリスマス➡サンタクロース➡プレゼント➡誕生日➡ケーキ
最初のお題は、誰かに好きな言葉を決めてもらってもいいでしょう。
効果
語彙力の向上 楽しみながら自然と語彙を増やしていくことができます。
連想した言葉を考えることで、発想力や思考力の向上にも繋がります。
すごろく
用意するもの:すごろく、人生ゲームなど
すごろくにもさまざまな種類がありますね。
人生ゲームや体あそびも一緒に行えるすごろくもあるので、こどもの年齢や好みに合わせて難易度を選んであげましょう。
あそび方
用意したゲームのルールに則って行ってください。
効果
ルールに守り遊ぶことで、社会性を身に付けることができます。
自分の順番が来るまで待つなど、集団での役割の理解にも繋がります。
ジェスチャーゲーム
用意するもの:ジェスチャーのお題
あそび方
チーム(1チーム2~5人で、2チーム以上作れるとゲームをしやすいです)を作って、お題を見てジェスチャーする人と、それを見て答えを当てる人に分かれます。
制限時間を設け、時間内で答えを当てられるかを競います。
効果
発想力や思考力の向上が期待できます。
また、身体を動かしながら遊ぶので身体機能の維持・向上にも繋がります。
感覚あそび
用意するもの:スクイーズ、スライム、粘土など
小麦粘土を作成する場合は、小麦粉+水を用意
あそび方
自由にあそび、感覚・感触を楽しみます。
小麦粘土を作成する際は、小麦粉に水を足してみて好きな堅さで粘土を作ってみたり、作る途中のドロドロ感を楽しんでみるのもいいでしょう!
食紅などで色をつけて遊んでも楽しいですよ。
小麦粘土の場合は、材料から分かるように万が一口に入れてしまっても害は少ないため、低年齢のこどもでも楽しめます。
効果
さまざまな感覚・感触に触れることで、触覚や視覚に刺激を与えることができます。
粘土やスライムを引っ張ったり、丸めたりすることで、指の筋力を鍛えることができます。
また、自由なあそび方ができるため、発想力や想像力の向上にもつながるでしょう。
風船バレー
用意するもの:風船(用意する個数は自由です)、空気入れ
あそび方
数人のチームになり、風船を下に落とさないようにパスしていくゲームです。
チーム全員が風船に触れたら勝ち!など、全員が参加できるような簡単なルールを作るといいでしょう。
障がいの程度や年齢などにより、ルールを柔軟に変更して、ある程度自由に楽しんで行えるようにするといいですね。
また、たくさんの風船を用意して自由に遊ぶこともいいでしょう。
風船プールなどにすると、低年齢のこどももルールも関係なく遊べるのでオススメです。
効果
自由に遊ぶことで、リラックスすることができます。
全身を使うため、運動機能の向上や、集中力の向上などの効果があります。
エアロビクス
用意するもの:音楽など(明るい、リズミカルな音楽がオススメです)
あそび方
簡単に振り付けをして、みんなで踊ります。
動画サイトに載っている簡単なエクササイズの動画を流しながら、真似をするように遊ぶのもいいでしょう。
効果
全身の有酸素運動になり、持久力を高めることができます。
また、身体を楽しく動かすことで、ストレス発散やリラックスにも繋がります。
宝探し
用意するもの:お宝(折り紙で作ったものでもいいですし、持っているおもちゃでも何でもOKです)
あそび方
室内の色々なところに予め宝を隠しておいて、制限時間までに探す!というゲームです。
効果
見つけることの面白さ・わくわく感を体感できます。
また、どこに隠しているか考えるなどの思考力の向上に繋がります。
仲間と協力して探す場合は、社交性も同時に身につけることができるでしょう。
以上、知的障がいの子も楽しめる室内でできるあそび・レクリエーションをご紹介しました。
どれも家庭でも簡単に取り組めるため、興味のあるレクリエーションがあれば是非実践してみてください!
こどもも楽しいですが、大人も一緒にやるとつい夢中になり全員で楽しむことができます。
大人も楽しむことで、こどももやる気を出して取り組めることもあるので、皆で積極的に参加して、楽しく活動をしてみましょう。
次に、こどもプラスの放課後等デイサービスで提供している運動療育プログラムをご紹介します。
知的障がいの子も楽しめる運動あそび(運動療育)
こどもプラスの放課後等デイサービスで提供している、知的障がいのこどもにもおすすめの運動療育プログラムをご紹介します。
運動と健康には密接な関係があります。
健康を維持するには運動は欠かせません。
普段運動をしていない子供にいきなり運動をするように言ってもやり方もわからないし、体も動かず、なかなかできませんよね。
こどもが何かを継続してやるためには何よりも楽しさが必要です。
そこで、運動あそびを提供することで楽しくあそびながら運動能力を身につけることができるのです。
今回は、こどもプラスの放課後等デイサービスで提供している運動療育プログラムから基本の「ウシガエル」をご紹介します。
ウシガエルは、跳び箱の開脚跳びにつながるあそびです。
ウシガエル
- 足を横に開いてしゃがみます。
- 両手をパーにして真ん中でくっつけた状態で床につきます。
- 手→足→手→足の順番に前に出して進んでいく動作を繰り返します。
※手と足の距離を広げるのがポイントですが、腕にかかる負荷が増えて、体重を支えきれずに顔から転んでしまうこともあります。
マットを敷くなど安全な環境で行なってください。
一番のポイントは、手足同時に跳ぶのではなく、手足を順番に前に出して進んでいくことです。
こどもたちの中には、やっていくうちに手と足が一緒に動いてしまう子がいると思います。
そういう子は手と足の位置が近いことが多いので、こどもの手を持って前につかせ、足で強くキックして前にジャンプするようにサポートします。
わかりやすいように声掛けをしてあげてください。
また、ウシガエルでは足を股関節からしっかりと開くことも大事なポイントです。
しゃがんでから足を開こうとすると難しいので、足をがに股のように開いてからしゃがむようにしましょう。
今のこどもたちは股関節周りが硬い子も多いので、ぜひチェックしてみてください。
基本の姿勢が苦手な子は、手や足のポジションに縄ばしごやテープで印をつけたり、小さいフープをつなげたコースを作ったりすることもお勧めです。
こどもたちが取り組みやすく、興味を持って楽しめるように基本の動きをアレンジしながら提供していきましょう。
ウシガエルの運動あそびは他にもあります。
こどものスキルや成長に合わせてあそびを選び、楽しく自己肯定感を高めていけるといいですね。
関連記事:新幹線ウシガエルで跳び箱の練習
今回は、こどもプラスの放課後等デイサービスで提供している、知的障がいのこどもにもおすすめの運動療育プログラム「ウシガエル」をご紹介しました。
日々のこどもたちの小さな成功体験を見逃さず、コツコツこどもたちの自己肯定感に繋げていけると良いですね。
また、発達障がいの方がうつ病等二次障害を発症しやすいことも良く知られていることかと思います。
幼少期からレクリエーション・運動療育などで自己肯定感を育むことで二次障害の予防に繋げていきたいですね。
毎日の生活の中で小さな成功体験をたくさん積み、それを身近な人に認めてもらえる環境が必要です。
失敗体験を積み重ねたらそれ以上に成功体験を重ね、1回失敗しても大丈夫と思えるよう自信を取り戻せると良いでしょう。
他にも、本人に合わせたレベルの課題を用意したり、失敗経験が悪い物ではないことを繰り返し伝えることで、こどもたちの成長にプラスになることが多くあります。
家族だけでの支援が難しいときは、専門家を頼ることもお勧めです。
次に、知的障がい向けのあそび(レクリエーションなど)を行う上での注意点についてお話していきます。
知的障がい向けのあそびを行う上での注意点
これまで、レクリエーションや運動療育などについてご紹介をしました。
知的障がいのこども向けのあそびを行う上での注意点がいくつかあるので、以下で説明をしていきます。
安全面に注意
レクリエーションを始める前に、周囲の安全確認を行いましょう。
周囲に物がないことをよく確認し、怪我や転倒に注意しましょう。
レクリエーションの中には、道具を使うものや身体を大きく動かすものもあります。
安全に行えるように、職員や保護者などがサポートしながら準備をしていきましょう。
自由参加が原則
無理矢理参加をさせるのはよくありません。
無理矢理参加をしていると、レクリエーションの効果は薄れてしまいます。
本人のやりたい!という気持ちを大事にしましょう。
しっかり参加の意思を確認して、楽しく遊べるようにしていきましょう。
こどもが得意なことや興味を持っていることを見つけ、それを大切にすることもプラスに働くこともあるかもしれません。
そのためにも、1人1人に合ったレクリエーション・療育活動で丁寧な支援・サポートを提供していきましょう。
水分補給
つい夢中になっていると、水分を取ることを忘れてしまうかもしれません。
こまめに水分補給を促しましょう。
それぞれ喉が渇いたら飲むのと別に、水分補給の時間も確保して、水分を摂取するように声かけをしていきましょう。
特に夏場は熱中症も心配なので、熱中症予防のためにも水分補給はとても大切です。
以上が、知的障がいのこども向けのあそびを行う上での注意点でした。
注意点に気をつけながら、楽しくレクリエーションや運動療育を実施しましょう!