「インクルーシブ教育」ってなに?放デイでは実践されている?
ここ数年ニュース等で「インクルーシブ教育」という言葉をよく聞くようになりましたね。
教育や福祉の業界に興味がある方の中にも、なんとなくイメージは理解しているものの、言葉で説明できるほどにはわからない。
そんな方も多いのではないでしょうか?
今回の記事では「インクルーシブ教育」の解説と、インクルーシブ教育と放課後等デイサービス(放デイ)の関係を確認していきたいと思います。
そもそも「インクルーシブ教育」ってなに?
近年、教育の現場では「インクルーシブ教育」が注目されています。
早速ですが、「インクルーシブ教育」とは何を指しているか、確認していきましょう。
まず、インクルーシブ(inclusive)とは「包摂的な」「包み込む」という意味です。
インクルーシブ教育を簡単にいうと「誰も排除せず、すべてを包み込む教育」とされています。
もう少し詳しく見ていきましょう。
インクルーシブ教育)とは
インクルーシブ教育は、すべての子どもが教育の中で平等に参加し、個々のニーズや能力に応じた支援を受けながら、最大限の成長と学習をすることを目指す教育のアプローチです。
インクルーシブ教育では、障がいの有無や特性に関係なく、すべての子どもが同じ学習環境で教育を受ける機会を与えられます。
インクルーシブ教育の主な特徴は以下の通りです。
平等な参加
インクルーシブ教育では、障がいの有無にかかわらず、すべての子どもが一緒の学習環境に参加する機会が提供されます。
特別な教室や学校に分離されることなく、すべての子どもが同じ教室で学びます。
個別支援の提供
インクルーシブ教育では、個々の子どものニーズや能力に合わせた支援が提供されます。
これには、個別の教育計画や特別な支援教育プログラムなどが含まれます。
相互理解と共同学び
インクルーシブ教育では、異なる背景や特性を持つ子どもたちが一緒に学ぶことで、相互理解が促進されます。
障がいのある子どもたちも、一般の子どもたちとの交流を通じて社会的なつながりを築くことができます。
社会的包摂
インクルーシブ教育は、障がいのある子どもたちが社会の一員として積極的に参加し、自己実現することを支援します。
これにより、社会的な包摂が促進され、障がいを持つ子どもたちが健全な社会メンバーとして成長することが期待されます。
インクルーシブ教育は、個々の子どもの多様性を尊重し、すべての子どもが教育の中で自己実現する機会を提供することを目指す教育の理念です。
日本ではインクルーシブ教育が推進されるように変化してきています。
その背景としては、2012年に文部科学省が作成した「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進」という報告書があります。
報告書の中では、以下のような記載がなされています。
人間の多様性の尊重等の強化、障害者が精神的及び身体的な能力等を可能な最大限度まで発達させ、自由な社会に効果的に参加することを可能とするとの目的の下、障害のある者と障害のない者が共に学ぶ仕組みであり、障害のある者が「general education system」から排除されないこと、自己の生活する地域において初等中等教育の機会が与えられること、個人に必要な「合理的配慮」が提供される等が必要とされている
つまり、すべての子どもが教育の中で平等に参加し、個々のニーズに合わせた支援を受けながら成長することを目指していくという報告がなされたのです。
「インクルーシブ教育」とは、簡単にいうと「誰も排除せず、すべてを包み込む教育」のことでした。
では、今までの教育とどんなところに違いがあるのか、さらに詳細を確認していきましょう!
今までの教育と「インクルーシブ教育」は何が違うの?
インクルーシブ教育への方針転換による変化でいうと、障がいのある子どもへの教育に大きな変化があります。
2012年以前の日本の教育システムにおいて、障がいのある子どもへの教育は、障がいのない子どもとは別の場で学ぶことが前提となっていました。
これを「棲み分けによる教育」と呼びます。
インクルーシブ教育では、通常の学校の通常の学級においても障がいのある子どもがいることを前提とし、基礎的環境整備や合理的配慮を提供することが求められているため、ここに大きな違いがあります。
「インクルーシブ教育」と「棲み分けによる教育」は、教育のアプローチや考え方において異なるアプローチです。
現在「インクルーシブ教育」が注目、推奨されていますが、「棲み分けによる教育」にもメリットがあります。
インクルーシブ教育
インクルーシブ教育は、すべての子どもが教育の中で平等に参加し、個々のニーズに合わせた支援を受けながら成長することを目指す教育アプローチです。
このアプローチでは、障がいの有無にかかわらず、すべての子どもが一緒の学習環境で教育を受けることが重視されます。
特別なニーズを持つ子どもたちには、個別の支援や適応措置が提供され、学習の機会を平等に享受できるようになります。
棲み分けによる教育
棲み分けによる教育は、障がいのある子どもたちとない子どもたちを別々の学習環境に分けるアプローチです。
例えば、特別支援学校や特別教室を設置して、障がいのある子どもたちを別の学校やクラスに送ることがあります。
このアプローチでは、障がいのある子どもたちのニーズにより適した教育環境が提供されることが目指されます。
その一方、障がいのある子どもたちの一般の学校での学習機会は制限されることがあります。
つまり、インクルーシブ教育は、すべての子どもが共に学び、成長する機会を提供することを目指す一方で、棲み分けによる教育は、特定のニーズを持つ子どもたちに適した学習環境を提供することを目指します。
多様性の時代と呼ばれるこの時代。
社会的な包摂や多様性を尊重する価値観に基づいているインクルーシブ教育が推進されていると言えるでしょう。
「インクルーシブ教育」以前の教育は「棲み分けによる教育」でした。
インクルーシブ教育と比較してみて皆さん自身はどんな感想をもちましたか?
では、学校以外の教育現場では「インクルーシブ教育」がどのように取り入れられているのか、見てみましょう。
放課後等デイサービス(放デイ)で実践される教育は「インクルーシブ教育」?
ここでは、学校以外の教育現場でのインクルーシブ教育の実践について放課後等デイサービス(放デイ)の例を見ていきたいと思います。
結論、放課後等デイサービス(放デイ)は、「インクルーシブ教育」の一形態として運営されることがありますが、場合によっては「棲み分けによる教育」のみの施設もあります。
具体的には、放課後等デイサービスがインクルーシブ教育か棲み分けによる教育を実践しているかは、運営する組織やプログラムの方針、実践方法によって異なります。
もう少し具体的に見ていきましょう。
インクルーシブ教育実践が多い放課後等デイサービス
インクルーシブ教育に力を入れている放課後等デイサービスでは、すべての子どもが一緒のプログラムに参加し、異なる背景や能力を持つ子どもたちが共に学ぶ機会が提供されます。
多様な障がいを持つ子どもたちも含め、適切な支援やアクセスの提供により、全ての子どもたちが自己実現できるような環境が整えられます。
棲み分けによる教育のみの放課後等デイサービス
一方、特定のニーズや能力を持つ子どもたちに適したプログラムや施設を提供するために、放課後等デイサービスが特別なクラスやグループを設けることがあります。
これは、棲み分けによる教育の要素が含まれる場合といえます。
このような場合、特別なニーズを持つ子どもたちには、専門的な支援が提供され、個々のニーズに合ったプログラムが用意されます。
このように、放課後等デイサービスがインクルーシブ教育、棲み分けによる教育のどちらに力を入れているかは、その運営方針や実践方法によって異なります。
ただし、近年では、学校現場だけではなく、インクルーシブなアプローチが推奨され、多くの放課後等デイサービスがすべての子どもたちの参加を促進する方向に向かっています。
と言いますのも、放課後等デイサービスは、子どもたちが学校や家庭の外で安全かつ楽しく過ごすためのプログラムを提供します。
放課後等デイサービスでインクルーシブ教育が実践されることで、障がいのある子どもたちは共同学びの機会を増やすことができます
見守りのある安全な場所で、異なる能力や興味を持つ他の子どもたちとの交流にチャレンジすることができるのです。
チャレンジすることにより、社会性やコミュニケーション能力を向上させることができるかもしれません。
インクルーシブ教育を取り入れている放課後等デイサービスでは、学校以外でも子どもたちがより多様な経験を積み、自己肯定感や社会的スキルを向上させられる機会を増やすことができると言えるでしょう。
ここでは学校現場以外のインクルーシブ教育実践について見ていきました。
放課後等デイサービス(放デイ)は、「インクルーシブ教育」の一形態として運営されることがあり、増えています。
ただし場合によっては「棲み分けによる教育」のみの施設もあるというのが実情でしたね。