発達障害

支援が必要なこどもの例まとめ|発達・行動・学習で見られるサインとは?

発達障害

お子様の発達に不安を感じていませんか?

「まわりの子と少し違うかも…」と感じることがあっても、それが自然な個性なのか、支援が必要なのか判断するのは難しいものです。

本記事では、発達・行動・学習などの側面から、支援が必要なこどもの具体的な例をご紹介し、ご家庭で気づきやすいポイントをお伝えします。

放課後等デイサービスでの支援実績をもとに、実際に支援が必要なこどもによく見られる例を挙げながら、早めの気づきと適切なサポートの大切さをわかりやすく解説します。

誰にも相談できないけど、不安に思っている・・・そんなときの参考として、ぜひ最後までご覧ください。

支援が必要なこどもとは

よく転ぶこどもに疑われる発達障がい

支援が必要なこどもの例を理解することは、適切な支援の第一歩です。

支援が必要なこどもとは、発達の特性や環境要因により、日常生活や学校生活において何らかの困難を抱えているこどものことを意味します。

発達障がい(自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、学習障がいなど)だけでなく、環境的な要因で支援を必要とする場合も含まれます。

支援が必要なこどもの判断基準

支援が必要かどうかを判断する際の主な基準は以下のとおりです。

  • 同年齢のこどもと比較して: 発達の遅れや特性が顕著である
  • 日常生活での困難: 着替え、食事、排泄などの基本的な生活動作に困難がある
  • 学習面での困り感: 読み書き計算など、特定の学習領域で著しい困難がある
  • 社会性の課題: 友達との関わりや集団活動への参加に困難がある
  • 行動面の特徴: 多動性や衝動性、こだわりが強く、適応が難しい
小児神経学会(2020)によれば、これらの特徴が単独ではなく複数見られ、6か月以上継続している場合は専門家への相談が推奨されています。

支援が必要となる要因

支援が必要となる要因は大きく分けて2つあります。

① 先天的な要因

  • 自閉スペクトラム症(ASD):社会性やコミュニケーション、想像力の発達に特徴
  • 注意欠如・多動症(ADHD):注意力の持続、衝動性のコントロールに特徴
  • 学習障がい(LD):読み書きや計算など特定の学習に困難を示す
  • 感覚過敏・鈍麻:音、光、触感などの感覚情報の処理に特性がある

② 後天的な要因

  • 家庭環境(養育環境など)
  • 学校環境(クラスの雰囲気、先生との相性など)
  • 社会経験の不足や心理的なストレス
文部科学省の調査(2012)によると、通常学級に在籍する児童生徒の約6.5%が発達障がいの可能性があり、何らかの支援を必要としているとされています。つまり、クラスに2~3人はいる計算になります。

支援が必要なこどもの具体例(年齢別)

幼児期(3~6歳)の例:

  • 名前を呼んでも振り向かない、または反応が遅い
  • 「いっしょにあそぼう」と誘われても意味が理解できない
  • 同年齢の子が着替えられるのに、一人では難しい
  • 特定の音(掃除機、ハンドドライヤーなど)を極端に怖がる

学童期(小学生)の例:

  • 授業中に席を離れて教室内を歩き回る
  • 黒板の文字を正確にノートに写すことができない
  • 友達との会話で話題についていけず、一方的に自分の好きな話をする
  • 予定の変更に強い不安を示し、パニックになることがある
日本小児精神神経学会(2018)の研究によれば、発達の特性に対する早期からの適切な支援により、二次的な問題(自己肯定感の低下やうつ、不登校など)を予防できる可能性が高まります。

支援が必要なこどもの例は年齢によって異なる特徴があり、発達の段階に応じた理解と支援が重要です。

次の項目では、支援が必要なこどもの具体的な例について、発達面、行動・社会性面、学習面に分けて詳しくご紹介します。

支援が必要なこどもの具体的な例

【幼児期】発達性強調運動障がいの症状チェックリスト

支援が必要なこどもの例としては、発達面、行動・社会性面、学習面での特徴的な姿があり、これらの特性を理解することが適切な支援の第一歩となります。

一人ひとりのこどもによって現れ方は異なりますが、日常生活で気づきやすい典型的なパターンをご紹介します。

発達面の例

発達面では、言語発達、認知発達、運動発達に関する特徴が見られることがあります。

言語発達の例:

  • 「あそぼう」と言われても意味が理解できず、同じ言葉を繰り返すだけの5歳児
  • 抽象的な言葉(「後で」「もうすぐ」など)の理解が難しく、具体的な指示が必要な小学生
  • 「机の上の本を持ってきて」など、二つ以上の指示を同時に理解できないこども

国立特別支援教育総合研究所(2020)の調査によると、言語理解の遅れがあるこどもは全体の約3.8%存在し、早期からの言語発達支援が効果的とされています。

認知発達の例:

  • 指示の順序を覚えられず、一つずつ確認しないと行動できない小学生
  • 「みんな」という集団への指示を自分のこととして理解できないこども
  • 時間や空間の概念理解が難しく、「午後から」「教室の後ろ」などの指示がわからない

運動発達の例:

  • 靴ひもが結べない、ボタンの留め外しが難しい小学校高学年の児童
  • 鉛筆の持ち方が独特で、長時間の筆記で極端に疲れてしまうこども
  • 階段の上り下りがぎこちない、ボールをうまく投げたり受け取ったりできない

支援が必要なこどもの発達面の例からわかるように、特定の発達領域に遅れや特性があることが、日常生活の様々な場面で困難となって現れます。

行動・社会性面の例

支援が必要なこどもの行動・社会性面の例は、集団生活において特に目立ちやすく、周囲の理解と適切な環境調整が重要です。

多動・衝動性の例:

  • 授業中に席を離れ、教室内を歩き回ってしまう児童
  • 順番を待つことが難しく、思いついたことをすぐに口に出してしまうこども
  • 危険予測が難しく、高いところや道路に突然飛び出してしまう

感情コントロールの例:

  • 予定変更で急にパニックになり、泣き叫んでしまうこども
  • 小さな失敗で極端に落ち込み、立ち直るのに時間がかかる児童
  • 「ダメ」と言われると激しく怒り、感情のスイッチが入ると収まらない

対人関係の例:

  • 友達とのあそびに入れず、一人で過ごすことが多い児童
  • 相手の表情や気持ちを読み取ることが難しく、トラブルが生じやすいこども
  • 目を合わせることが苦手で、会話中に視線が合わない

こだわりの例:

  • 給食の食材が混ざることに強い抵抗を示し、食べられなくなるこども
  • 特定の音や触感に過敏で、体育館や図工室に入れない児童
  • いつも同じ順序や方法でなければ不安になり、行動できなくなる

日本発達障がいネットワーク(2019)によると、感覚過敏や社会性の課題を抱えるこどもは、適切な環境調整により学校生活の適応が大きく改善することが明らかになっています。

学習面の例

支援が必要なこどもの学習面での例は、学年が上がるにつれて顕著になることが多く、早期からの適切な支援方法の導入が重要です。

読み書きの例:

  • 文字を書く際に左右が反転する、行を飛ばして読んでしまう児童
  • 黒板の文字を正確にノートに書き写すことが難しいこども
  • 漢字をなかなか覚えられない、または似た形の漢字を混同する
  • 読みながら内容を理解することが難しく、読解問題が特に苦手

計算の例:

  • 数の大小関係の理解が難しく、繰り上がりの計算につまずくこども
  • 九九は言えるのに、応用問題になると解き方がわからなくなる児童
  • 図形の問題が特に苦手で、空間把握に困難がある
  • 文章題で何を求めればよいのか理解できない

文部科学省(2022)の報告では、学習障がいの特性を持つこどもに対する個別の学習支援によって、学力向上だけでなく自己効力感の改善も見られることが示されています。

支援が必要なこどもの例は実に多様ですが、発達面、行動・社会性面、学習面のどの領域においても、早期からの適切な支援によって困難を軽減し、強みを伸ばすことができます。

次は、支援が必要なこどもの例を日常生活の中で見つけ、どのように対応していくかについて見ていきましょう。

支援が必要なこどもへの気づきと対応

よく転ぶこどもを支援するために必要なこと

支援が必要なこどもの例を日常生活の中で見つけ、適切に対応するためには、早期発見のポイントと効果的な支援アプローチを理解することが重要です。

発達の特性は生まれつきのものですが、適切な支援により困難は軽減され、強みを伸ばすことができます。

早期発見のポイント

支援が必要なこどもの早期発見のポイントは、年齢に応じた発達の目安を知り、日常生活の中での「気になる」サインに注意を向けることです。

年齢別の発達チェックポイントを把握しておくことで、支援の必要性に早期に気づくことができます。

乳幼児期(0~3歳):

  • 名前を呼んでも振り向かない
  • 視線が合いにくい、指さしをしない
  • 言葉の発達が同年齢の子と比べて遅い
  • 特定の音や感触に過剰に反応する

幼児期(3~6歳):

  • 集団活動に参加することが難しい
  • 同年齢のこどもとのやりとりが少ない
  • 着替えや食事など基本的な生活動作に時間がかかる
  • こだわりが強く、予定変更に対応できない

学童期(小学生):

  • 学習の定着が難しい
  • 友人関係でトラブルが多い
  • 集中力が続かない、または特定のことに強いこだわりがある
  • 整理整頓が難しく、忘れ物が多い

厚生労働省(2021)の「健やか親子21」では、こどもの発達に関する保護者の「気になる」という感覚を大切にし、早期に専門機関に相談することの重要性が強調されています。

「気になる」と感じたときの相談先:

  1. 市区町村の保健センター(乳幼児健診、発達相談)
  2. 児童発達支援センター
  3. 教育委員会や学校の特別支援教育コーディネーター
  4. 医療機関(小児科、児童精神科)
  5. 放課後等デイサービス

効果的な支援アプローチ

支援が必要なこどもへの効果的な支援アプローチは、個々の特性に合わせた環境調整と適切なコミュニケーション支援を基本とし、こどもの強みを活かした前向きな関わりが重要です。

環境調整の例:

  • 視覚支援:写真やイラストを使った予定表やスケジュール
  • 環境の構造化:学習や活動の場所を明確に区分する
  • 感覚刺激の調整:騒音を軽減する、適切な照明にする
  • 座席の配置:教室での席を前方や端に配置する

コミュニケーション支援の基本:

  • 具体的でシンプルな言葉で伝える
  • 視覚的な手がかりを併用する
  • ポジティブな言葉かけを心がける
  • 十分な処理時間を与える

家庭でできる基本的なサポート:

  • こどもの得意なことを活かした活動を取り入れる
  • 成功体験を積み重ねられるよう、小さなステップに分ける
  • 予定や変更は事前に伝え、見通しを持たせる
  • 適切な休息と感覚調整の時間を確保する

東京都発達障がい者支援センター(2023)によると、家庭と学校、支援機関が連携して一貫した支援を行うことで、こどもの適応力が高まることが確認されています。

支援が必要なこどもの例を早期に発見し、適切な支援を行うことは、こどもの困難を軽減するだけでなく、こども自身の自己肯定感を育み、家族全体の生活の質を向上させることにつながります。

続いて、支援が必要なこどもへの理解と支援の重要性について総括していきます。

早期に気付き、適切な支援をしよう

3.アスペルガー症候群の子が運動の苦手を乗り超えるポイント

支援が必要なこどもの例を多く挙げてきましたが、これらの特徴を理解し、早期に適切な支援を開始することが重要です。

適切な支援を行うことで、こどもたちの可能性を最大限に伸ばし、将来の社会適応を促進することができます。

発達の特性は「障がい」ではなく「個性」として捉え、その子の強みを活かした支援が大切です。

支援の重要性

支援が必要なこどもへの適切な支援は、二次的な問題を予防し、こどもの自己肯定感を育み、家族全体の生活の質を向上させる重要な役割を担っています。

日本発達障がい学会(2021)の研究によれば、支援が必要なこどもに対する早期からの適切な介入により、学校適応や社会性の発達が促進されることが示されています。

私たち支援者が実感しているのは、「困っているこども」を減らすのではなく、「困らない環境」を整えることの重要性です。

早期支援の効果としては、以下のような点が挙げられます。

  • こどもの二次障がい(不安、うつ、不登校など)の予防
  • コミュニケーション能力や対人関係スキルの向上
  • 学習への意欲向上と基礎学力の定着
  • 自己肯定感の育成と将来の社会適応力の向上
  • 家族全体のストレス軽減と生活の質の向上

こどもに支援が必要だと感じたら

お子様に支援が必要だと感じたら、まずは専門家に相談しましょう。

支援までの基本的な流れは、以下のようになります。

  1. 専門家への相談: かかりつけ医や市区町村の相談窓口に相談する
  2. 発達検査の実施: 心理検査などを通してこどもの特性を客観的に把握する
  3. 個別支援計画の作成: こどもの特性に合わせた具体的な支援目標と方法を決める
  4. 適切な支援サービスの利用: 児童発達支援や放課後等デイサービスなど

放課後等デイサービスでの支援例

放課後等デイサービスでは、個別の特性に応じた支援プログラムを提供しています。

  • 学習支援:個別の学習スタイルに合わせた教材と指導方法
  • ソーシャルスキルトレーニング:対人関係の基本スキルの練習
  • 感覚統合療法:身体を使ったあそびを通じた感覚処理能力の向上
  • 余暇活動支援:趣味や特技を伸ばす活動

支援が必要なこどもへの具体的な支援例として、放課後等デイサービス「こどもプラス」では運動療育を中心とした支援プログラムを提供しており、脳科学に基づく運動あそびでこどもの発達と成長を促進しています。

支援が必要なこどもに効果的な運動療育プログラム例

支援が必要なこどもの例として、判断力や社会性に課題がある場合に効果的な「こどもプラス」の運動療育プログラム「豚の丸焼きじゃんけん」をご紹介します。

  1. こどもは2人組になり、鉄棒でお互いの顔が向き合うように逆さまになります
  2. その状態で片手を離し、じゃんけんを行います
  3. 勝ち負けがついたら次のペアと交代します

この活動は、支援が必要なこどもに以下の効果があります。

  • 逆さまの状態での判断力向上(日常生活での状況判断力につながる)
  • じゃんけんのタイミングを合わせる社会性の発達
  • 楽しみながら身体感覚を育てる感覚統合効果
安全への配慮

じゃんけんのタイミングが合わなかったり、あいこが続いてぶら下がる時間が長くなると力が尽きて落ちてしまうことがあるため、必ずこどもの手首を支え、背中の下に膝を立てて補助するなど、安全面に十分注意して行います。

支援が必要なこどもの例は多様ですが、一人ひとりの個性を尊重し、こどもプラスのような具体的で楽しい支援を行うことで、こどもたちは自分らしく成長していくことができます。

お子様の発達について気になることがあれば、お気軽にこどもプラスにご相談ください。

全国にあるお近くのこどもプラスの教室へのご案内もさせていただきます。

支援の必要なこどもたちとその家族の未来が、適切な理解と支援によって明るく開かれていくことを願っています。

参考文献

  1. 文部科学省 (2012) 「通常の学級に在籍する発達障がいの可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査」
  2. 日本小児精神神経学会 (2018) 「発達障がい児の早期支援に関する提言」
  3. 国立特別支援教育総合研究所 (2020) 「発達障がいのあるこどもの言語発達支援に関する研究」
  4. 日本発達障がいネットワーク (2019) 「発達障がい児の感覚特性と環境調整に関する実態調査」
  5. 文部科学省 (2022) 「学習障がい等のある児童生徒への指導方法に関する調査研究」
  6. 厚生労働省 (2021) 「健やか親子21(第2次)」中間評価報告書
  7. 東京都発達障がい者支援センター (2023) 「発達障がい児支援における家庭と学校の連携に関する調査研究」
  8. 日本発達障がい学会 (2021) 「発達障がい児に対する早期支援の効果に関する縦断研究」

この記事を書いた人
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発達支援に特化した放課後等デイサービスを全国190教室以上展開する「こどもプラス本部」は、筑波大学大学院博士課程修了・柳澤弘樹博士(体育科学)の研究成果を基に設立されました。
身体活動と脳機能に関する研究を行い、発達障がいのお子様向けの運動プログラム開発に貢献しています。

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